正解は4です。
今回の問題は,「プロジェクト・リスク・マネジメント」の知識エリアより,定量的リスク分析に関連する問題です。この知識エリアの「定量的リスク分析」プロセスでは,「ツールと技法」として「定量的リスク分析とモデル化の技法」が定義されており,その中に,「期待金額価値分析(EMV分析)」があります。
今回の問題のテーマであるEMV(Expected Monetary Value)とは,あるリスク事象が発生した場合,発生しなかった場合の結果を金額(得られるリターン-投入コスト)で評価し,これらに発生確率をかけて,その平均を算出したものです(加重平均)。
今回の問題で,ツールを導入した場合のEMVは,下記のように求めます。
◆ツールを導入した場合のEMV
(1)ツールの導入に成功した場合の結果
=350万円(コスト削減額)ー50万円(コスト)=300万円
(2)ツールの導入に失敗した場合の結果
=50万円(コスト削減額)ー50万円(コスト)=0円
成功する確率は90%,失敗する確率は10%なので,2つの金額の加重平均から,ツールを導入した場合のEMVは,
300万円×90%+0円×10%=270万円
以上より,今回の問題の正答は,選択肢4の270万円ということになります。
なお,今回の問題のテーマであるEMVは,デシジョンツリー分析で使用されるため,試験対策としては,EMVだけでなく,デシジョンツリー分析も併せて理解しておく必要があります。
例えば,問題に登場したツール(ツールAとします)とは別に,ツールBを導入するという選択肢があったとします。このツールBの導入コストは300万円,導入によって好結果をもたらす確率が60%でコスト削減効果は1000万円,逆に結果が良くなかった場合のコスト削減効果は100万円だったとします。
この2つのツールの導入に関して,デシジョンツリー図を描くと下記のようになります。
この図を元に,プロジェクトマネージャはどちらのツールを導入するか意思決定を行います。