ITproではIT関連の機器やサービスをデータベース化した新サイト「製品&サービス・データベース」をオープンしました。ユーザーの目的に合った製品を検索したり,競合商品を一覧表化して比較できる機能などを持っています。現在は第一弾として「通信サービス」分野を公開しています。今後,ほかのジャンルの製品やサービスも順次公開していく予定です。また,機能面での強化も予定しています。ぜひご利用ください。

 このデータベースには,価格や製品の機能面に加え,提供開始時期も登録してあります。製品やサービスを選択する際に参考になる情報だとの考えからです。提供開始からある程度の時間が経って「枯れた」製品を望むユーザーもあれば,多少のリスクはあっても新たな機能を持つ新製品を積極的に導入したいユーザーもあるはずです。ソート機能を使えば,サービスが提供開始された順に並べ替えることもできます。

 ところで今回公開した通信サービスの分野で提供開始時期が最も古い商品は,いつ頃の登場だと思われますか。答えは1906年。2006年や1996年の間違いではありません。NTT東日本とNTT西日本が提供する「アナログ専用サービス」がそれです。通信サービスは社会的なインフラでもあるため,古いサービスが長期間にわたって提供され続けることは当然なことではあります。しかし,100年以上も前のサービスがまだまだ現役であると知って,改めてそのことを認識されられました。

 次に古いのは,やはりNTT(当時は日本電信電話公社)の「ディジタル専用サービス」で,「アナログ専用サービス」を開始してから約80年後の1984年の提供開始です。そして1986年になって,NTT以外の名前が始めて登場します。ソフトバンクテレコム(当時は日本テレコム)のULTINA Data Services 専用線サービス」です。1985年にNTTが民営化され,新規に通信事業へ参入することが可能になったことを受けて始まったサービスです。その後,「電力系」と呼ばれる事業者のサービスが始まり,通信サービス事業のプレーヤーが一気に増えていきました。

 その後,1990年代半ばにフレームリレー,ATMなどのサービスが始まり,1999年にはIP-VPNが,2001年には広域イーサネットなど「新型WAN」と呼ばれるサービスが相次いで登場,ローエンドからハイエンドまでラインアップが充実していきます。また2001年以降はFTTHサービスが続々と開始されています。高速(といっても開始当時は最大6Mビット/秒)ディジタル専用線,フレームリレー,ATM,そして新型WANとそのアクセス回線としてのFTTH,と企業のネットワークを支えてきたサービスは変革してきました。新サイト,製品&サービス・データベースの並び替え機能を利用すると,それが再確認できます。

 モバイル分野はどうでしょうか。データベースに登録されている最古のサービスはウィルコムの「Two LINK DATA」,回線交換方式のサービスです。その後しばらくはPHSの独断場でしたが,2007年にイー・モバイルが登場し,最大7.2Mビット/秒のサービスが定額で利用可能になったことは,まだ記憶に新しいところです。

 モバイル分野のサービスを一覧化し,提供企業名を眺めてみると,通信事業者,いわゆるキャリア以外の企業名が多数登場しています。通信事業者の物理的なネットワークを借り受けてサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)です。イー・モバイルが登場し,その回線を借り受けてサービスを提供するMVNOが一気に登場したことが分かります。来年にもサービスが始まるモバイルWiMAXや次世代PHS(WILLCOM CORE)では,通信事業者にMVNOへの回線提供義務があります。製品&サービス・データベースに登録される企業名も一気に増加することと予想しています。

 最初に述べたように,製品&サービス・データベースは掲載する製品やサービスのジャンルを順次拡大していきます。新ジャンルが加わるたびに,提供開始日でソートし,そのジャンルの歴史を振り返ってみるのも楽しそうです。