社内外で収集される様々なデータの「分析力」で企業の競争力を高める方策を説く。米ウォルマート・ストアーズからカジノやスポーツチームまで,幅広い事例を取り上げる。

 データ分析の具体的な理論や計算法よりも,経営に生かすための組織の作り方にページを割く。分析専門部署の設置や,データ管理業務の外部委託などを提唱している。

 事実を重視しない経営幹部の下ではデータ分析は威力を発揮できない,というのが著者の主張だ。ひらめきを重視して成長した米ナイキの創業者が,データ分析を重視する人物をトップに登用しつつ,そのトップがデータ分析を基に進言した「中流層向けの靴開発」をはねつけて解任した事例も紹介している。

分析力を武器とする企業

分析力を武器とする企業
トーマス・H・ダベンポート/ジェーン・G・ハリス著
村井 章子訳
日経BP社発行
2310円(税込)