正常に起動しないトラブルは,ドライバにまつわるものが多い。そのようなときは,Windowsに備わるセーフ・モードを使えば,対処できる。セーフ・モードで起動して,ドライバを変えたり,壊れたデータを修復したりして,問題を解決する。Windows XPにはドライバを1つ前のバージョンに戻す機能もある。セーフ・モードのオプションを変えることで,ネットワークにつなげられる。グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)が壊れている状況に対処することもオプションでできる。

 今まで使っていたWindowsが何かの拍子に起動しなくなると,パソコンの画面上で「セーフ・モード」による起動を勧められることになる。しかし,起動しなくなったWindowsが,なぜセーフ・モードなら起動するのだろうか。

 セーフ・モードは,最小限の機能のみで立ち上がるといわれるが,最小限の機能とは,どのようなものか。またその機能は,どこに記録されているのだろうか。今回はセーフ・モードについて詳しい仕組みと便利な使い方を紹介しよう。

ドライバの障害に対処できるセーフ・モード

 Windows 95の時代からのユーザーにいわせれば,現在のWindows XPは,滅多なことでは落ちなくなったかもしれない。それでも,画面が“固まり”,マウスやキーボード操作を受け付けなくなって,再起動を余儀なくされることがある。

 私の場合も,Windows XPに変えてから頻度こそ激減したものの,何度か前触れもなく再起動された経験があった。再起動後になんの問題もなく正常起動することもあるが,ほとんどの場合セーフ・モードの起動画面が表示される。セーフ・モードとは,トラブル修復のためのWindows起動モードの1つである。

 セーフ・モードの起動画面が表示されても,トラブルの原因が分からない場合は,とりあえず通常起動に切り替えることになる。問題となるのは,再び再起動がかかったり,起動中に画面が固まってしまったりするような場合だ。これは起動に必要なファイルに何らかの問題が発生していることを示している。

 起動中のトラブルには,多くの原因が考えられる。ビデオ・カードを入れ替えていたり,デバイス・ドライバを更新していたりと,これらにより不都合が起きた場合は,ある程度の特定は簡単である。起動さえできれば,原因のドライバを元に戻せばいい。

 セーフ・モードなら,必要最小限のドライバとサービスだけで起動するため,立ち上がる確率がかなり高くなる。例えば,画面表示は標準のVGA(ビデオ・グラフィックス・アレイ)ドライバを利用する。その理由は,ビデオ・ドライバが原因で起動しないようなことも想定されるからだ。とりあえず起動さえすれば,ドライバや壊れたファイルを元に戻してやることで,修復できるかもしれない(図1)。

図1●セーフ・モードのおかげで助かった…
図1●セーフ・モードのおかげで助かった…
ドライバやサービスのトラブルは,原因が分かっていてもWindowsが起動しなくなると修復に手間取る。そこでいったんセーフ・モードで起動し,問題のあるドライバやファイルを入れ替えると,Windowsを元に戻せる。ではなぜ,セーフ・モードは起動しなくなったWindowsを戻せるのだろうか。

 もちろん,セーフ・モードの起動に必要なファイルまで壊れてしまった場合は,さしものセーフ・モードも起動できない。このような場合,Windows 2000/XPではコマンド・ライン・ベースの「回復コンソール」が用意されている。回復コンソールはまた別の記事で紹介する。