起動時のトラブル修復方法として,「セーフ・モード」とは別に「前回正常起動時の構成」という機能を使う方法がある。スタートアップ・メニューの中から選択して実行する。「前回正常起動時の構成」における「前回」とは,最後にログオンが成功した時のこと。起動時のドライバの利用設定であるレジストリの働きを知ることで,修復の原理を理解する。この機能は手軽であるが,仕組み上の限界もある。ドライバなどのファイル自体が破損していたり,アプリケーション・ソフトの設定情報が消えたりすると戻らない。

 システムにトラブルが発生したとき,「ついさっきまで動いていた,あの状態に戻せないものか……」そう考えるのは,至極当たり前のことだ。その要求にこたえるのが,Windows NTから標準搭載されている「前回正常起動時の構成」である。「前回正常起動時の構成」を使えば,どのように修復したらいいか,特に専門知識も手間も必要ない。前回に正常起動したときの設定のままに戻してくれる(図1)。

図1●[前回正常起動時の構成]による“いきなり復活”<br>ソフトウエアのインストールなどで,Windowsが起動しなくなったら,スタートアップ・メニューを表示させ,画面から[前回正常起動時の構成]を選択実行する。すると,正常稼働していた当時のWindowsの設定情報が呼び戻され,以前の状態に戻る。
図1●[前回正常起動時の構成]による“いきなり復活”
ソフトウエアのインストールなどで,Windowsが起動しなくなったら,スタートアップ・メニューを表示させ,画面から[前回正常起動時の構成]を選択実行する。すると,正常稼働していた当時のWindowsの設定情報が呼び戻され,以前の状態に戻る。
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 Windows 2000/XPでは,起動に際しシステムが異常終了したことを感知したときや,F8キーを押しながら起動したときは,スタートアップ・メニューの画面が現れる。そのメニューには[セーフモード]とともに[前回正常起動時の構成(正しく動作した最新の設定)]という項目がある(図2)。今回は,より簡単に復旧できる「前回正常起動時の構成」について,その仕組みを理解しながらシステムを復旧させる方法を紹介しよう。

図2●Windows XPの[前回正常起動時の構成]を起動させるスタートアップ・メニューの画面
図2●Windows XPの[前回正常起動時の構成]を起動させるスタートアップ・メニューの画面
F8キーを押しながら起動させるとWindows XPのスタートアップ・メニューが表示される。ここで[前回正常起動時の構成]を選択してEnterキーを押す。

選ぶだけで前回の状態に戻る

 障害が起こったとき,「セーフ・モード」や「回復コンソール」で復旧する方法は,いずれも復旧作業を行うための特別な環境を用意する仕組みだった。どう復旧させるかは,事前に起こった事象を基に,作業者が作業する必要があった。

 例えば,セーフ・モードの場合,必要最小限のドライバとサービスでWindowsを起動し,問題のドライバやサービスを無効にしたり,入れ替えたりする。実際には,レジストリなどを操作する場合も多く,初心者には難しかった。ところが,図2から[前回正常起動時の構成]を選んで実行すれば,もっと単純に「前回」の設定のままに起動してくれる。

 もっとも,前回の状態にシステムを戻すことが,果たして「修復」といえるかどうか判断は難しい。構成を戻したからといって,必ずしもトラブルがなくなる保証はないからだ。そもそも「前回正常起動時」の「前回」とは何なのか。