システムを企業内に置くか,クラウド上に置くか。それぞれにメリットがある。当社は「Software Plus Service(S+S)」戦略により,企業内にあるソフトウエアとクラウド上にあるサービスを組み合わせ,バランスの取れた環境を実現していく。

どこにでもアプリを置ける

大場 章弘 マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長
大場 章弘 マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長
写真・丸毛 透

 S+Sのメリットは三つある。

 一つめは,企業内で使われているサーバーやソフトウエアを,クラウドやホスティング環境にシームレスに拡張できることだ。近い将来,今は想像できないほど,多種多様な機器にコンピューティング能力が載ってくる。そのすべてに,オフライン環境も考慮して,一貫した操作性やデータ・アクセス,アプリケーションへのアクセスを提供する。ユーザーは高いサービスレベルを享受する。ITガバナンスの強化にもつながる。

 二つめはアプリケーションの配置の柔軟性だ。自社内でも,Microsoftのデータセンターでも,ほかのホスティング事業者のデータセンターでも,自由に置けるようになる。一例を挙げると,「Exchange Server」は非常に多くのユーザーが社内で運用しているが,同じ機能をMicrosoftからもサービスとして提供する。

 三つめは開発環境の連続性だ。クラウド上にコンピューティング環境が広がっても,新しいツールは要らない。端的に言えば,クラウド上でも.NETを使って今までと同様にアプリケーションを開発できる。

サーバー製品の機能をサービス化

 Microsoftは様々な機能をサービスとして提供する。整理すると3階層構造になる。一番上はユーザーが直接使うサービス群で,コンシューマ向けの「Live」,法人向けの「Microsoft Online Services」の2つのブランドがある。

 2番目の階層は,Exchange ServerやSharePoint Serverなどのサーバー機能を提供する。企業ユーザーには,.NETの開発環境という形で見えてくる。今,SQL ServerやBizTalk Serverのサービスをベータ・テスト中だ。ほかのサービス部品もAPIとして追加していく。

 パートナー企業がアプリケーションを開発したり運用したりする際には,2番目の階層を使うことになる。パッケージとしてのWindowsが普及したときと同様,パートナーのビジネスが発展することにより,当社のビジネスも成り立つのだ。

 3番目の階層はMicrosoftが持つデータセンターの機能にあたる。サーバーOSが備える基本的な機能,つまり大規模ストレージや仮想化,システム管理といったところだ。これも,ユーザー企業やパートナー企業が利用できるようにする。

 イメージとしては,Windows ServerのAPIのようにサーバー機能を直接使える形になる。今,その詳細を詰めているところだ。2008年10月の最終週に「Microsoft Professional Developers Conference」で発表する。