セマンティックWebをめぐる動きが、最も激しいのは、インターネット分野である。米グーグルの存在があるからだ。グーグルに打ち勝つために、米ヤフーや米マイクロソフトは、セマンティックWebへの取り組みで先行することで、次なるパラダイムシフトを生み出そうとしている。

 Yahoo!が提供する「SearchMonkey」は、Yahoo!の検索インフラである。Webサイトの開発者やサイトオーナーは、WebサイトにSearchMonkeyを組み込むことで、Yahoo!の検索結果に、商品やサービスのレビュー情報、コンタクト先、地域情報など、種々のデータを組み合わせて表示ができる(図1)。

図1●Yahoo!が提供する「SearchMonkey」の画面例
図1●Yahoo!が提供する「SearchMonkey」の画面例
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 SearchMonkeyの裏にあるのが、「セマンティックWeb(Semantic Web)」というテクノロジである。構造化データをWebの世界でうまく扱うための仕組みだ。セマンティックWebの考え方や基礎研究はずいぶん前から取り組みが進んでいる。それがここにきて、各方面での研究開発が進んできたことにより、いよいよ現実味を帯びてきた。

 最近、「Web3.0」というキーワードが、Webにかかわる人々の間で語られ始めている。そして、Web3.0のカギを握るのが、セマンティックWebであるとも言われている。Web 3.0とセマンティックWebが同義かどうかは別として、筆者はWeb 3.0を実現するコア技術がセマンティックWebであることは間違いないとみている。そこで本稿では、特に断らない限り、セマンティックWebとWeb 3.0を同列に扱っていく。

 セマンティックWebをめぐる動きが、最も激しいのは、インターネット分野である。そこには、米グーグルの存在がある。同社は、過去8年間、Web検索の分野でトップに君臨し続けてきた企業と言って間違いないだろう。競合他社がグーグルに打ち勝つには、検索機能に漸進的な進歩を加えるだけでは、もはや不十分である。全く異なるWeb体験を作り出すような、パラダイムシフトが求められている。

セマンティックWebの仕組みについては、「セマンティックWeb概論」をご覧ください。