Windowsには,ユーザーごとにデスクトップ環境を切り替える機能がある。これは「ユーザー・プロファイル」と呼ぶ機能によって,ユーザーの情報が保存されているからだが,どのようなデータが利用されているのだろう。システム管理者なら「固定ユーザー・プロファイル」や「移動ユーザー・プロファイル」を利用しているかもしれない。しかし,ユーザー・プロファイルはメンテナンスを怠ると無駄なディスク領域を消費していくことをご存じだろうか。
Windows XPが発売されたころ,マイクロソフトはこのOSが「真」のマルチユーザーOSだとしきりに宣伝していた。起動するとユーザーを選ぶ「ようこそ画面」というメニューが現れ,そのマシンを操作するユーザーが簡単に選べたという理由だった。このような宣伝は,Windows 9x/Meユーザーには,あまり気持ちがよくなかったかもしれない。Windows9x/Meが,まるでマルチユーザーで利用できないような印象を受けたからだ。
確かにWindows 9x/Meのマルチユーザー機能は,Windows NT系OSのWindows XPに比べて貧弱である。Windows 9x/Meは,ログオン画面で[キャンセル]ボタンを押せば,だれでも操作可能になるし,暗号化でもしない限り,他のユーザーのファイルを簡単に表示・編集できる。
しかし,Windows 98/Meにマルチユーザー機能が全くないわけではない。どちらのOSも複数のユーザーを登録できるし,ログオン画面でユーザー名とパスワードを入力すれば,各ユーザー用のデスクトップを表示させることもできる。
このマルチユーザーのための機能は,「ユーザー・プロファイル」と呼ばれる(図1)。そして,Windows XPではそれが一層洗練されている。
ある程度知識がある人は,Windows XPのユーザー・プロファイルが,Documents and Settingsフォルダの下に作られるユーザー別のフォルダで実現されていることをご存じだろう。
しかし,ユーザー・プロファイルでは,デスクトップのデザインやスクリーン・セーバーなどの設定もユーザー別に用意される。Windowsの設定はレジストリ*に記録されているはずである。どのようにして,ユーザー固有の値にレジストリ情報を切り替えるかのだろうか。また,ユーザー・プロファイルには「ローカル・プロファイル」「固定プロファイル」「移動プロファイル」がある。それらの違いを正しく説明できるだろうか。
さらに,ユーザー・プロファイルは,メンテナンスを怠ると,ディスク領域を大きく圧迫することはあまり知られていないようだ。「ユーザー・プロファイルをメンテナンスしたことがない」という人は,もっとディスクの空き領域を増やせるはずである。そこで今回は「ユーザー・プロファイル」の仕組みとともに,不要なユーザー・プロファイルを削除したり,プロファイル・データをバックアップしたりするメンテナンスの方法や便利なワザを紹介したい。