古庄 潤(ふるしょう じゅん)
本業はエンジニア。ICに様々な機械をつなぎ,電流やら電圧を測定する。もちろん,これらの測定器もVBAでコントロールし,取り込んだデータもマクロで処理する。人呼んで,マクロの鬼軍曹!

「先生,疲れてますね?」
「おぉ,ゲール君,徹夜だったんじゃ」
「また,ミジンコの観察だすか?」
「いや,そうじゃない。アルバイトでプログラムを書いておったんじゃ」
「どんな?」
「それは言えん。NDAを結んでおるのでな?」
「どうせまたモザイクを消すとか,エッチなソフトなんでしょ?」
「そうではない。勤怠を管理するソフトなんじゃ」
「へぇ~,今回はまともなソフトなんですね」
「当たり前じゃ。わしはエロ爺ではない」
「ま,そういうことにしておきましょう。で,どうして徹夜になったんですか?」
「うむ,エンドユーザーがじゃな,一度決まった仕様をひっくり返しおった」
「それは,先生の作ったアプリが駄目だったからじゃないんですか?」
「何を言う,わしの作るソフトは完璧じゃ」
「人が作ったものに完璧なものなどありませんよ」
「それは,まぁ,そうじゃが。一度決まった仕様をひっくり返されてはたまらん」
「そりゃそうだ」
「しかも,ど素人がコードの中身にまで口出ししやがって」
「先生,言葉がお下品ですわよ」
「あいや,これは失礼」
「で,どうしたんですか?」
「もちろん,お客様のリクエスト通りに作り直したさ」
「あら,素直ですこと」
「客のリクエストであれば,サラブレッドをロバにでもするさ」
「どういうこと?」
「そういうこと」
「真面目に答えなさい」
「はい!つまり,仕様変更でチューンダウンしたってこと」
「あらま~!じゃあ,ここで思う存分腕を振るってください。お待ちの相談者の方,ど~ぞ~」

今月の相談
探してください。シートが多すぎて,目的のシートを探すのに苦労しています。シートの名前は頭に入っていますので,シート名で検索できるマクロをお授けください。

「先生,まさかのお任せコースです」
「うむ」
「でも,シートを探すのってそんなに大変ですか?」
「そりゃあ,ゲール君はシート2~3枚が限界であるからして,探すのに苦労はせんじゃろ」
「どういう意味ですか?」
「シートのタブは,3つしかない。一目瞭然,探すほどのことでもない」
「そうじゃなくて『限界』って,どういう意味ですか?」
「そういう意味じゃ」
「なるほど・・・って,おい!」
「モニターの解像度と,シート名の文字数にもよるが,シートの数が20枚,30枚と多くなると,すべてのシートのタブは表示できないから,スクロールしながら探さなければならない」
「え?そうなんですか?」
「百聞は一見にしかずじゃ。ちょっと待っておれ,チチンプイプイのえい!よし,できた。このExcelファイルを開いてみたまえ」
「はい,先生」

図1●たくさんのシートがあるブック
図1●たくさんのシートがあるブック

「ありゃま~,意味不明のタブが並んでます」
「まぁな,マクロでちょいちょいとワークシートを作っただけだからな。シート名は乱数で作った。その中に,Sheet1という名前のシートがあるから探してみたまえ」
「はい,先生。え~と,え~と,え~と・・・ありました!」
「感想は?」
「なんだか苛々します」
「相談者の気持ちがわかったかな?」
「はい!」
「では,救いたまえ」
「え?」
「マクロを授けてやるのだ」
「敵前逃亡ですか?」
「な,何を言うか。修行じゃ。愛の鞭じゃ」
「眠いんでしょう?」
「そんなことはない。ほれ,目だってこのとおりパッチリ」
「半分白目になってますよ」
「ごめんなさい。ヘロヘロです」
「わかりました。それでは不祥このゲールめが作らせていただきます。アブラカタブラ~・・・えい!はい,できました」