今回は,「問題発生!こんな時どうする?」と題して,問題の抽出方法や問題から課題(解決すべきこと)に落とし込む方法,課題に優先順位を付ける方法について,その勘所を解説したい。

 早速,前回のケーススタディの続きから始めよう。

 情報システム室主任の山田さとしがリーダーを務める,あけぼの産業の次期基幹システム再構築プロジェクト。プロジェクト・メンバーは,インタビューや資料収集に基づいて各部門の業務・システムの問題抽出に取り組み,ようやくその成果がまとまった。

 ある日の朝。プロジェクト・メンバーは情報システム室の第1会議室に集まり,抽出した問題について,今後の対応方法を検討していた。

 情報システム室の第1会議室にて。

山田:「皆さん,問題の抽出作業に協力していただき,ありがとうございました。みなさんからご提出いただいた内容を拝見しました。部門ごとにいろいろな問題が抽出されていて,私が知らなかったこともたくさんありました。おそらく,大変なご苦労があったのではないかなと感じています」

鈴木:「そうですね。問題はいろいろと抽出してみたんですが,自分のやり方が正しいのか,どの程度まで抽出すればいいのか判断できずに苦労しました。財務の佐々木主任からも,同じように苦労したと聞きました」

山田:「高田工長はどんな方法で問題を抽出したのですか?」

高田:「製造部門のことは私がすべて把握しているから,私がほとんど一人でやったよ。鈴木主任の生産管理もほぼ同じやり方なんじゃないかな」

鈴木:「そうですね」

高田:「実は,抽出した問題の数が多かったので,内容で分類しようとしたんだが,難しくてうまくいかなかったよ」

鈴木:「どの辺が難しかったんですか?」

高田:「分類するための項目を決める部分かな。結局,どんな風に分類すればいいのか,決め切れなかったよ」

山田:「お話を聞いた限りでは,みなさんの作業内容にバラツキがあるかもしれませんね。まずは,全体を整理するためにも,問題を分類するところから進めていきましょう」

高田:「といっても,どんな風に分類するんだい?」

山田:「そうですね。今回は,システムだけではなく業務プロセスの問題点も洗い出したので「業務」「組織」「システム」「その他」で分類するのはどうでしょうか?」

高田:「なるほど。それは分かりやすいね」