世界のインターネット人口は,約7億4,700万人(※1)に達し,年々増加の一途をたどっている。「検索」することが情報収集に欠かせない手段として普及してきていることは,世界の検索エンジン各社が提供するユニークなサービスに見て取れる。

 米国向けのGoogle.comは22種類もの検索サービスを提供(※2)している。例えば,「Google Earth(アース)」は日本のテレビ番組でも頻繁に取り上げられているので,一般消費者にもご存じの方が多いサービスだ。また,米国の一部の地域で利用されている「Google-441」(※3)というVoice Searchサービスは,携帯電話などで音声による検索ができて面白い。

 中国百度(bidu.com)も14種類の「捜索(検索)」サービスを提供(※4)しており,その中に2007年の4月にテストを開始した『百度語音捜索』というサービスがある。直訳すると「百度の音声検索」だが,これはGoogleで提供している「Google-441」(Voice Search)とは異なり,電話の向こうのオペレーターがユーザーの代わりとなってほしい情報を百度で調べてくれる「検索代行」サービスのことである。

 2008年時点での中国インターネット利用ユーザー数は,米国を抜いて2億2,000万人(※5)と報じられた。しかし,中国の総人口数はおよそ13億3,000万人(※6)であるため,インターネット利用者数は全体の約10分の1ということになる。さらに,ほとんどの利用者は都市部に集中し,地方や農村部への普及はインフラ整備が完了した後の話となる。そのため,インターネットがまだ普及していない地域にとって『百度語音捜索(百度の音声検索)』は,中国の現状をとらえた現地ならではの検索サービスと言える。このように検索サービスは,各国のニーズに合わせて形を変えていく。

 2008年の中国インターネット広告市場規模は111.2億元(※7)と,ますます拡大する見込みだ。この魅力的な市場へ向けて検索エンジンマーケティングを活用して集客をはじめる企業も増えることだろう。