NTTデータビジネスコンサルティング
酒井幸良,照井栄介
CRM(Customer Relationship Management)の取り組みを成功に導くために外せない鉄則が存在する。CRMプロジェクトでは業務設計やシステム構築などの仕組み構築にばかり焦点を当てがちだが,これまで述べてきたように,それだけでは十分な効果を生まない。むしろ,仕組み構築の前後にあるフェーズが大切なのだ。
今回は,本連載の総まとめとして,CRMの鉄則7カ条を示す(図1)。かつて,CRMがなぜ失敗したのか,その典型的な失敗原因の分析結果を基にしている。同じ過ちを繰り返さないために,役立ててもらいたい。
システム部門が,独りよがりのCRMシステムを作ってしまった。その結果,ユーザー部門がCRMシステムを利用せず,無用の長物となっている。その後,システム部門からユーザー部門に働きかけづらくなって,いつしか「CRM」という言葉が社内で禁句になった…。
CRMの取り組みを一気に推し進めようと,性急なスケジュールで走り始めた。しかし,いざ始めてみると,営業やコールセンターにとっては新しい業務に移行する準備期間がほとんどなく,変更に伴う作業量も莫大になることが次々と見えてきた。結局,現場から大反対を受けてプロジェクトが頓挫した…。
CRMプロジェクトが新しい顧客セグメンテーションのルールを設計し,営業やマーケティングなどの関係部門に一回説明したが,うまく納得してもらえず,そのままの状態になっていた。そのため,現場ではこれまで通りの独自のセグメンテーション・ルールを使い続け,何も変わらなかった…。