NTTデータビジネスコンサルティング
酒井幸良,照井栄介

 前回に続いて,CRMを成功させるために必要な5つの能力について解説する。今回は,上手に売る“場”を作る「顧客対応パフォーマンス」,人の意識を合わせる「人材活用力」,そして関係会社や業者と力を合わせる「企業連携力」を取り上げる。50のチェックポイントを通して,自社のCRM実施能力を確かめてもらいたい。

 前回に引き続き,CRM(Customer Relationship Management)に不可欠な「5つの能力」について解説する(図1)。今回は,上手に売る“場”を作る「顧客対応パフォーマンス」,人の意識を合わせる「人材活用力」,そして関係会社や業者と力を合わせる「企業連携力」を取り上げる。

図1●CRMの成功に必要な5つの能力
図1●CRMの成功に必要な5つの能力

 人材活用力や企業連携力という言葉に「顧客」の文字は含まれていないが,実は非常に重要な能力である。かつてのCRMが失敗に陥った原因の一端は,第2回『かつて,CRMはなぜ失敗したのか』で紹介したように,人材活用力や企業連携力が欠けていたためだった。CRMは,最終的に「人間の意識を変える取り組み」でもある点を忘れてはならない。

 併せて,それぞれの能力をブレークダウンしたチェックポイントのリストも示す。各チェックポイントには3段階の評価基準があるが,ここでは割愛する。図2の評価基準の例を参考にしてもらいたい。レベル1は取り組みが不足しているレベル。レベル2は標準的なレベル。レベル3は高度で充実した取り組みができているレベル,を示している。自社の目標レベルや課題を検討する際には,自社の現状のレベルと,ベンチマークとなる他社のレベルと比較することが有効である(図3)。

図2●チェックポイントの評価基準例
図2●チェックポイントの評価基準例

図2●チェックポイントの評価基準例
[画像のクリックで拡大表示]

-->

図3●5つの能力の診断結果を他社のベンチマークと比較した例
図3●5つの能力の診断結果を他社のベンチマークと比較した例