基板を覆う筐体を無理にこじ開けた(Androidケータイ分解その1)後は,分解作業は順調に進んだ。まず,筐体を開ける前から気がついていたのが,着信時のバイブレーション用と思われる振動モータが筐体の外から見えていた点。分解に協力いただいた技術者からは「外から取れるようになっているのかな?」と疑問の声が上がった。ただし,筐体を開けてみたところ,このモータはメイン基板にしっかり固定されており,簡単に取り外しできそうにはないことが分かった。
技術者が次に気づいたのが,携帯電話用アンテナにつながる接続端子と,GPS用アンテナへの接続端子が,いずれも細長いケーブルでRFチップ群から離されていた点だ。特に,携帯電話用アンテナにつながるケーブルの長さは75mmもあった。ケーブルは,小さなボタンフックを使った着脱式になっている。「高周波信号を扱うのにこんな無造作につながっているのか…」(同技術者)。
ケーブルが目立っていたにも関わらず,分解班のメンバーはアンテナそのものを見つけることができなかった。その疑問に技術者が「これじゃないですか」と示したのが,はがしたばかりの基板を覆っていた黒い筐体である。ところが,金属のダイポール・アンテナやセラミック・アンテナはやっぱり見当たらない。
技術者は「これですよ」といって,筐体に細いドライバを差し込み,黒いシールのようなものをはがし始めた。「えっ,それが携帯電話のアンテナですか?」と驚く分解班。技術者が取り外したアンテナは,アルミニウム箔を大きくラセン状に切り抜き,黒く色を塗ったものだった。厚さは精密ノギスで実測したところ,約0.2mmだった。