コクヨグループのCIOの役割を担うコクヨビジネスサービス取締役ITソリューション事業部長の福田幸博氏

 コクヨは、2004年に持ち株会社に移行した。文房具、家具やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスといった事業別に分社化。コクヨグループのIT(情報技術)企画と開発はコクヨビジネスサービス(大阪市)に集約した。同社の福田幸博取締役ITソリューション事業部長はコクヨグループのCIO(最高情報責任者)の役割を担う。

 コクヨグループはここ数年間でITインフラの再構築を進めている。代表的な取り組みが2006年に着手したグループウエアのシステム再構築だ。「ノーツ」から、ウェブベースの仕組みへ移行を進め、2008年に完了させた。福田取締役は「ノーツ上には4000以上のデータベースがあって、情報がはんらんしてしまっていた状態だった」と振り返る。「はんらんさせたまま移行しては情報をうまく活用できない状態が続いてしまう。『移行という言葉は使わないように』と担当者に言い続けた」と振り返る。乱立していたデータベースそれぞれを「捨てる」「統合する」「再開発」の3つに分類し、数を4000から1500にまで減らした。

 持ち株会社制に移行して以来、ITガバナンスをどう強化するかがこれからの福田取締役の課題だ。各事業会社は独立した組織であるため、IT(情報技術)投資に対して各社ばらばらの考え方を持っている。グループ全体で統一した基準を設けるなどガバナンスを効かせなければならない。「全社共通のほうが良い点があることなど効果を中心に説明して理解を求めている。力づくではなく、コストや保守などの面から取り組む価値を理解してもらえるように心がけている」と福田取締役はいう。

 機能別組織になってしまったため部門間の情報共有が途切れてしまっているという。受発注システムなどを再構築しながら、バリューチェーン(価値の連鎖)をつなぐことも今後の課題だ。

Profile of CIO

◆ITベンダーへの要望
・売り手と買い手という関係ではなく、一緒に考える関係でなければいけないと思います。売り手(ITベンダー)は、必要な工数を積み上げてコストを計算してきますが、買い手が必要な機能は何なのかを考える人材を養成してほしいと思います

・この関係は、情報システム部門と利用部門にもいえることです。50人いるIT担当者は繁忙期には利用部門に行って常駐させるようにしています。業務の課題を見極める力を養ってほしいからです

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日経情報ストラテジー
・日経コンピュータ
・日経SYSTEMS
・プレジデント
・モノマガジン
・エシーフォ(コクヨが発行する先進のオフィスを紹介する雑誌)など

◆最近読んだお薦めの本
・企業経営者が書いた本や歴史小説をよく読みます

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の勉強会など

◆ストレス解消法
・その日に解消するように心がけています。
・休日には鮎釣りに出かけたり、ジムで汗を流したりしています。