Windowsでファイルを削除すると,そのファイルは本当に消去されるのではなく一時的にごみ箱へ移動する。ごみ箱に残っている間は簡単に元の場所に復元可能だ。なぜ,ごみ箱はすぐに元のフォルダに復元できるのだろうか。一般に,ごみ箱から削除したファイルは元に戻らないと言われる。しかし,マシンを破棄する際はセキュリティ上,ファイルの削除だけでなくディスクを物理的に破壊するのが望ましいとされる。なぜ,そこまでしなければいけないのだろうか。
コンピュータを使用していれば,ファイルの数は増えてくるものだ。当然そのままではディスクがファイルであふれてしまうため,必要ないファイルは削除していくことになる。しかし,「必要ない」と判断して捨てたはずのファイルが,後で必要となることは少なくない。
そんなユーザーのうっかりミスをカバーするために,Windowsには「ごみ箱」という便利な機能がある。ごみ箱は,削除したファイルを一時的に保管するもの。ファイルを削除してもすぐに消去してしまうのではなく,ひとまずごみ箱に移動しておく。ファイルは元のフォルダからはなくなっているが,ごみ箱の中には残っており,必要になれば簡単に元のフォルダに復元できる。ごみ箱の中のファイルはメニューから[ごみ箱を空にする]を選ぶか,あらかじめ設定した一定量を超えると順に消去される。
ごみ箱に関するこれらの一連の操作を,普段は何気なく実行しているだろう。では,なぜ元のフォルダにすぐ復元できるのだろうか。また,ごみ箱から消去したファイルは一般的には復元できないことになっているが,それらを高い確率で復元してしまう「復元ソフト」が数多く存在する。これらのソフトは,どうやって削除してしまったファイルを復活するのだろうか(図1)。
今回は,ごみ箱の仕組みと原理,そして「ファイルを削除する」とはどのようなことなのか,またファイルが消えないセキュリティ上の問題まで,詳しく解説していきたい。