データセンターの月額費用は,当然のことながら少しでも安い方がいい。そこで,データセンターのユーザーは利用料金をどのように値切っているのか,逆にデータセンター事業者はどう値切られると断りづらいのか,探ってみた。

 値切る上での交渉材料となるのが,「利用期間」と「借りる広さ」。データセンターの利用期間は,1年単位であることが多い。この期間が長ければ長いほど,データセンター事業者は安定した収入を見込める。つまり,値切れる可能性が高まるのだ。ある事業者は,「少なくとも3年,願わくは5年ぐらい利用してくれるなら,交渉に応じる余地がある」と明かす。

 広さに関しても考え方は同じである。あるデータセンター事業者が「空気で満たしているだけでは,1円にもならない」と語るように,1ラックよりも2ラックと,ラック数が多いほど価格交渉で優位に立てる。携帯電話向けポータル・サイト「モバゲータウン」やオークション・サイト「ビッダーズ」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)は,複数のデータセンターに預けていたサーバーを集約して,データセンターの利用コストを引き下げた。場所代だけでなく,各データセンターで契約していた回線利用料も下がるなど,大きなコスト削減効果があったという。

 ただし,こうしたセオリーが通用しないこともある。借りたいデータセンターに空きが少ないときだ。例えば,特に東京の大手町周辺にあるデータセンターは人気が高く,空きが発生しもすぐに埋まってしまう。わざわざ値下げする必要がないのだ。

 空きの少ない(人気の高い)データセンターをなんとか値切る方法はないのか。データセンター事業者は,「月額費用は値下げできないが,ラックの設置費用や電源工事費用といった“初期費用”ならば,値下げに応じることもある」とこっそり教えてくれた。試してみる価値はありそうだ。