写真1●「オープン化」「グローバル化」「ボーダーレス化」で携帯電話は大きく変わると日経コミュニケーション副編集長の菊池 隆裕氏
写真1●携帯電話は大きく変わると日経コミュニケーション副編集長の菊池 隆裕氏
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 「携帯電話業界は,オープン化とグローバル化,そしてボーダーレス化で激変する」。日経コミュニケーション副編集長の菊池隆裕氏は,携帯電話業界で起こっていることを総括した(写真1)。同氏は2008年10月17日,ITpro EXPO 2008 Autumnのメインシアターで「グローバル化とオープン化で激変する携帯電話業界」と題して講演した。

携帯事業者がすべて提供する時代は終わった

 オープン化を象徴する話題として「iPhone 3G」の日本上陸を挙げる。iPhone 3Gは2008年7月11日にソフトバンクが発売した。オープン化とは「iPhoneは,携帯電話事業者ではない米Appleが企画,開発,製造して販売するという点ある」(菊池氏)と説明する。

 従来,携帯電話事業者が企画した端末を,メーカーが作るという構図になっていた。端末だけでなく,コンテンツ/アプリケーションからプラットフォーム,通信サービス,ネットワーク・インフラまですべて携帯電話事業者が提供していた。Appleのようなサードパーティが端末を企画から手がけるのは初めてのケースである。そして,「これからも同じような端末がこれからも多く出てくるのでは」という見方を示す。

 今後,「サードパーティが企画するサービスが増えてくる」(菊池氏)と予想する。Googleが提供するGmailや地図アプリケーションなどのサービスはその例である。端末メーカーでは,Appleが典型。通信や音楽配信,ビデオ配信と一体化したサービスを提供している。

写真2●サービスのオープン化。左から米Amazon.comの電子書籍「Kindle」,米Ambient Devicesの「アンビエント傘」,日本通信の「bモバイル3G」。
写真2●サービスのオープン化
左から米Amazon.comの電子書籍「Kindle」,米Ambient Devicesの「アンビエント傘」,日本通信の「bモバイル3G」。
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 このほかにも,通信サービスと一体化した端末がある(写真2)。米Amazon.comの電子書籍「Kindle」もその例。ユーザーは購入した端末を使い,携帯電話事業者の通信機能を利用して電子書籍を入手する。通信料金という概念はない。電子書籍の料金に通信料金が含まれている。

 米Ambient Devicesの「アンビエント傘」は一見すると普通の傘である。しかし,取っ手にLEDが付いており,その色で天気予報を知らせてくれるという傘である。晴れならば「青」,雨なら「赤」という具合である。玄関に置いておき,出かけるときに傘を持っていけばいいのかが簡単にわかる。これもユーザーは通信機能を使いながら,通信料金は払わなくていい“端末”である。

 日本でもこの流れは来ている。日本通信が販売するスティック状のUSB通信カード「bモバイル3G」がその一つである。端末の価格は4万円で,これに150時間分の通信料金が含まれている。480日間有効で,期間内ならばいつ使ってもいい。「このスティックがほかのデバイスのなかに組み込んでもいい」(菊池氏)。たとえば,カーナビなど,外出先でデータを取りたいような端末が考えられる。