クラウド時代のデータセンターで重要なのは,高密度に集積されたサーバー群の維持・管理コストを,いかに最小化するかということだ。なにしろ,米Googleや米Amazon.com,米Microsoftが運用するデータセンターは,規模がけた違いに大きい。旧式の設備で,下手な運用をしてしまうとコストもけた違いなものとなる。

 Googleの場合,世界36カ所を超えるデータセンターで,100万台以上のサーバーを運用している。ノークリサーチの調査によれば,日本の年間PCサーバー出荷台数は55万330台(2007年度)だから,その2倍近い台数を1社で運用しているのである。

 データセンター建設時に,重視されるのが,サーバー冷却コストの低減である。そこで近年,クラウドの主要プレーヤがデータセンターの建設地として注目するのが,冷却コストを抑えられる寒冷地である(図2)。

図2●データセンターの建設地の例
図2●データセンターの建設地の例
電力コスト削減を理由に,巨大データセンターを寒冷地に建設するケースが増えている。

 AmazonやMicrosoftは,自社の本拠地があるWashington州Quincyに大規模なデータセンターを建造。サーバー冷却に外気を取り入れていることを公表している。Googleは,Oregon州Dallesにデータセンターを建造した。コロンビア川の冷たい水を冷却水として使用できるからだ。

 イタリアの新聞「ラ・スタンパ」は,Googleや米Yahoo!,Microsoftが欧州向けにサービスを提供するデータセンターをアイスランドに置いていると報じている。寒冷なだけでなく,火山国であるため地熱発電が盛んで,電力コストも安価なのが魅力だという。