情報システム
マイクロソフトが描く「クラウドへの道」 日経コンピュータ

第2回 過去にない「オン・ザ・スカイ」のDBを作る

クエンティン・クラーク氏
クエンティン・クラーク氏
米マイクロソフト
SQL Serverジェネラルマネージャー

 米マイクロソフトは、データベース管理システム(DBMS)のSQL Serverにおいても「クラウド化」を進めている。その陣頭指揮を執るクエンティン・クラーク氏は、米グーグルや米アマゾンといった競合の存在に対し、「(SQL Serverのクラウド化は)単なる『オン・ザ・スカイ』のデータベースではない。より野心的なプロジェクトだ」と強調する。
(聞き手は玉置亮太=日経コンピュータ)



クラウド版「SQL Server」の開発を進めている。

 クラウドサービスの1つとして発表した「SQL Server Data Services(SSDS)」は、既存のSQL Server技術を使った極めてスケーラビリティ(拡張性)の高いデータマネジメントサービスだ。インターネットのクラウド上にデータを蓄積して利用するアプリケーションを対象にする。利用者やアプリケーションの場所は問わない。

 またアプリケーション開発者が、データベース設計やストレージ容量計画、障害対応や保守に気を配る必要もない。SSDSが、業界標準のWebサービスを使った、シンプルなデータアクセス手段を提供するからだ。

 データの蓄積と利用に加えて、運用管理の機能も提供する。まだ詳細は言えないが、現在はプログラミングや運用などについて様々なテストを重ねている最中である(本誌注:正式版の提供は2009年の見込み)。

米グーグルや米アマゾン・ドットコムといった企業は、同様のクラウドサービスを提供しており、先行している。

 SSDSは競合が提供するような単なる「オン・ザ・スカイ」のデータ蓄積サービスではない。例えばグーグルの「GFS」は、とても基本的なファイル管理機能を提供するのみだ。SSDSはRDBの要素も備え、オンプレミス(自社で所有する)とクラウドのそれぞれに、共通のアプリケーション開発モデルを提供する。当社のIT基盤ビジョン「Dynamic IT」に沿って、両者のアプリケーションを境目なくつなぐことを目指している。

 大規模データベースを使ったオンラインサービスを運用する経験を、当社はこれまでも積んできた。例えばWebメールサービスである「Hotmail」の基幹データベースはSQL Serverだ。しかし、単一のアプリケーション用と様々なアプリケーションが稼働するデータサービスを運用するのとでは、負荷分散や運用管理のモデルが異なる。SSDSは極めて高い拡張性を持つデータサービスを構築・運用する経験を、マイクロソフト自身にももたらすことになる。

 クラウドサービスへ向けた長い旅路はまだ始まったばかりだが、SSDSはその大きな第一歩なのだ。

2008年8月にSQL Server最新版「SQL Server 2008」の出荷を開始した。最新版における開発の重点は何か。

 SQL Server 2008はDynamic ITにおけるオンプレミス側の中核製品となる。次の4つの柱を掲げて開発した。

 第1は全社レベルのデータ管理基盤にすることだ。IT基盤の設計や運用のポリシーに基づくシステム運用管理を可能にしている。データベースを中心にしたシステム構成やサービスレベルをあらかじめ定義しておけば、複数のデータベースを運用していても、個別にポリシーを設定する必要はない。それぞれのデータベースのポリシーを一カ所のSQL Serverから統合的に管理できる。

 新機能の「リソースガバナー」も、全社データ管理基盤に向けた新機能だ。複数のアプリケーションに対するプロセサやメモリーの使用率を動的に配分する。

 二つめは、開発生産性を大幅に向上させること。SQL Server 2008ではデータベース構造を抽象化したデータモデルを新たに採用した。様々な種類のデータへ、アプリケーションから統一的な手法でアクセスできる。データベースの論理設計に依存しないプログラミングを可能にするものだ。

 一貫したアクセス手段を提供するデータモデルは、開発効率の向上や変化への俊敏な対応を実現する上で極めて重要である。将来データ形式が増加しても、開発者はそのつど新しいデータアクセス手段を覚えたり使い分けたりする必要がない。アプリケーションの業務ロジックや実装言語が変わった場合でも、統一したデータアクセス手段を利用できる。

(玉置 亮太=日経コンピュータ)  [2008/10/21]

この記事に対する読者コメント

コメントに関する諸注意 コメント投稿 コメント一覧