■Active Directoryを使ったドメイン環境では,ドメイン・コントローラが重要な役割を果たしている。万が一の場合の影響を最小限に抑えるためには,ドメイン・コントローラのバックアップやリストアが重要になる。
■ここで紹介するUmoveは,Active Directoryのバックアップや,サーバーがクラッシュしたときの迅速な復旧を可能にするツールである。とくに,サーバーが1台しか存在しないActive Directory環境でも,バックアップデータからActive Directoryをすばやく復旧できるのがありがたい。

■ソフト名 Umove (バージョン 1.6.701)
20002003
英語
■開発 Algin Technology社
■URL http://utools.com/
■ファイル umove701.exe(1,200,456バイト,32ビット用)
umove64-701.exe(2,368,352バイト,64ビット用)
■対応OS Windows 2000 Server/Server 2003(x86およびx64)/Small Business Server
■価格 $129.95(Single Comnputer License),$369.95(Umove Unlimited)など
■評価
(5段階)
★★★★☆

 かつて筆者がWindows NT 4.0 Serverを使用したWindows NTドメインを管理していたころ,重宝して使用していたツールの1つにAlgin Technology社の「Upromote」というシェアウエアがある。これは,クラッシュしてしまったプライマリ・ドメイン・コントローラを復活させたり,スタンドアロン・サーバーを再インストールすることなくドメイン・コントローラに昇格させるためのツールである。サーバーにトラブルが発生した際に効率よく復旧できるため,ドメイン管理ツールとしては非常に役に立つものだった。

 今回紹介する「Umove」も同じAlgin Technology社のシェアウエアである。こちらはWindows 2000 ServerやWindows Server 2003を使用して構築したActive Directoryのバックアップやリカバリのために使用する。サーバーにトラブルが発生し,Active Directoryが機能しなくなった際に,比較的簡単な手順で復旧させることができる。

リプレースやアップグレードにも利用可能

 このUmoveを使うことで,ドメイン・コントローラが不意のトラブルに遭遇した場合でも,ウィザードを使ってバックアップ・ファイルからActive Directoryを簡単に復旧させられる。バックアップ・ファイルとしては,Windows 2000 ServerやWindows Server 2003の標準ツールである「NTBackup」で作成したものを利用できる,そのため,たとえドメイン・コントローラが1台しか稼働していない小規模ネットワーク環境であっても,復旧作業は比較的簡単に行えることが特徴だ。

 Umoveは,Active Directoryのバックアップ/リカバリ・ツールとして役に立つだけでなく,たとえば老朽化対策や性能の向上を目的としたサーバーのリプレースや,Windows Server 2003 Standard EditionからEnterprise Editionへのアップグレード,あるいは32ビット版から64ビット版へのアップグレードといった,Active Directoryの計画的な移行作業にも非常に役に立つツールだ。

 特に便利なのはSmall Business Serverからのアップグレードである。Small Business Serverを使っていたユーザーが,組織や業務の拡大に伴ってネットワーク規模を大きくしたいというニーズが出たときなどに,Windowsの標準機能だけでこのようなサーバー移行をするのはとても煩雑なプロセスが必要となり,さまざまなトラブルが発生しかねない。だが,Umoveを使えば,それまで使っていたSmall Business Serverの情報を引き継ぎながら,Windows Server 2003へ簡単にアップグレードできるのだ。

 移行の際に実行しておきたい事前テストもUmoveを使うと簡単に行えるようになっている。さらに,Active Directoryで稼働しているさまざまなアプリケーションやサービス(たとえばMicrosoft Exchange ServerやInternet Information Services,DHCP,WINSなど)を移行させるためにも使えるといった,さまざまな機能を持っている。