広域イーサネット・サービスの「ビジネスイーサ ワイド」は,3月末のサービス開始当初から提供可能地域がフレッツ光ネクストなどのIP系NGNサービスとはリンクしていなかった。NGNが14収容局に限られたのに対して,東京都内と大阪府内が対象エリアとなっていた。
実は同サービスは,フレッツ光ネクストやフレッツVPNシリーズで使っているIP技術によるNGNとは全く別のインフラを使って提供している。NGNの商用化と同時にデビューしたものの,厳密には国際標準で言うところの“NGN”ではない。独自のイーサネット網を構築し,「基本的にユーザーの要望でエリアを拡大している」(NTT 東日本の矢部泰利ビジネスユーザー事業推進本部ネットワークソリューション部担当部長)。
ただ8月には,NGN版フレッツVPNシリーズのセンター回線としてラインアップされ,別網であるNGNとの連携が可能になった(図1)。IPv6の traffic classに対応した優先制御機能も備えている。
展開スピードはIP系NGNよりも早い
ビジネスイーサワイドはIP系サービスと違い,SLAで故障率や復旧時間などを保証するギャランティ型サービスである。このため「IP網とは別の専用網が必要だった」(矢部担当部長)。Ether-OAMなど最新の監視技術に対応した通信機器や新たな網構成を導入し,従来の広域イーサネット網とは異なる“次世代網”になっている。
広域イーサを必要とする企業ネットワークの案件では,通常「引き合いから開通まで半年からそれ以上のリード・タイムがある」(矢部担当部長)。この間に,一定の需要が見込める都市を割り出し設備を構築するため,提供エリアをユーザーの要望に合わせられる。「営業提案もエリアに制限を設けていない」という。県間や東西間をまたぐ通信も可能であるため,「他社サービスと対等の条件で攻められるようになった」(同)。年内にも複数の都道府県をまたぐビジネスイーサ ワイドの構築事例が出てくる見通しである。
最新機能が使える最後発広域イーサ
全国ベースの広域イーサネット・サービスとしては最後発になるため,「他社の広域イーサにはない最新機能を備えられた」(矢部担当部長)という。
アクセス回線と回線終端装置を冗長化する「デュアルアクセス」や,ユーザーのLAN側にあるサーバーやネットワーク機器の故障まで監視する「LAN/WANモニタ」など多彩なオプションを用意する。これらを武器に,「ネットワーク運用に専任スタッフを割けない企業でも高信頼のネットワーク運用ができる」(同)ことをユーザーに訴えていく。