日本ユニシスは「工事進行基準」の適用に向け、4月1日付で「プロジェクト管理部」を新設した。プロジェクトの進行に遅れがないか、収支の状況はどうかなどを第三者の視点で随時チェックする組織だ()。

図●日本ユニシスのプロジェクト管理の仕組み
図●日本ユニシスのプロジェクト管理の仕組み

 工事進行基準の適用が始まるのは2009年4月。それまでに、ソリューションプロバイダは見積もり原価の算定や要件定義、プロジェクト管理を厳格にしておく必要がある。

 これまで日本ユニシスのチェック体制は、最初に不採算案件を排除したり、出来上がったシステムの品質を審査したりすることが中心で、プロジェクトの「入口」と「出口」に限定されがちだった。

 一度プロジェクトが動き始めてしまうと、第三者によるチェック機能が働きにくい面があったのだ。気付いたときには手遅れになる可能性もあった。

 籾井勝人社長は「今まではプロジェクトの経過をモニタリングする機能がなく“穴”があった」と打ち明ける。

 そこで日本ユニシスは、プロジェクトの遅れや採算悪化といった“危険信号”を察知する仕組みを相次いで導入した。その第1弾とも言えるのが、2007年12月に導入した「行灯システム」。プロジェクトのメンバーによるチェック機能を強化する仕組みだ。

 具体的には、プロジェクトのメンバー全員が問題や不具合がないかどうか常に意識し、気付いた時点ですぐに上司と専任の担当者に伝える。その後、必要に応じて対策チームを編成し、速やかに対処する。

 行灯システムの名称は、一部の製造業の生産ラインに配置されている「アンドン」と呼ばれる表示ランプから取った。異常が発生した場合は、作業員がボタンを押すなどランプを点灯させて異常を知らせ、生産ラインを止める仕掛けである。この発想を日本ユニシスはプロジェクト管理の現場に取り入れた。

 行灯システムの導入とプロジェクト管理部の新設によって、日本ユニシスは工事進行基準の適用に向けた手を打つと同時に、完成したシステムの信頼性や顧客満足度も高める。「今年度は従来以上に品質を重視していく」と、籾井社長は戦略説明会で力強く宣言した。

 工事進行基準の適用開始まで残り1年を切った。今後、日本ユニシスが推進する一連の施策がどこまで効果を発揮するかが注目される。