受託ソフトウエア開発に「工事進行基準」が適用される2009年4月まで1年を切る中、ソフトウエアベンダーがプロジェクト管理ソフトの売り込み攻勢をかけている。

 昨年以降、マイクロソフトや日本オラクルなど大手も含む国内外のベンダーが、プロジェクト管理ソフトの新版を投入した()。中でも売り込みに熱心なのがマイクロソフトだ。

表●進行基準への対応を打ち出した主なプロジェクト管理ソフト
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表●進行基準への対応を打ち出した主なプロジェクト管理ソフト

 同社は「Microsoft Office Project」の新版を昨年1月に投入。今年に入って進行基準への対応がITサービス業界で注目されると、ITベンダーに的を絞って売り込みを開始した。今年4月からダイレクトメール約6000通の送付や電話営業を実施し、高い比率で見積依頼があったという。

 さらに、Office Projectをインストールしたサーバーを無料で貸し出す体験キャンペーンを実施。マイクロソフトの相場宏二IWソリューションマーケティンググループエグゼクティブプロダクトマネージャは、「SIerは進行基準への対応に強い関心を寄せており、かなりの引き合いがある」と言う。

 競合他社も自社製品が進行基準への対応に有効であると懸命にアピールしている。進行基準の適用を機に、ソフトベンダーは本格的なプロジェクト管理ソフトを導入するソリューションプロバイダが増えると見ているのだ。

 日本オラクルは5月12日に発売した「Oracle Projects」のセミナーを、SIerなどを対象にパートナー企業と共同開催。基幹系システムとの密接な連携によって、見積原価の算出やコスト管理の精度を高められる点を訴求した。

 ソフトブレーンは展示会やセミナーで、「e工程マネージャー」によってプロジェクト進捗管理の手間を軽減できることを強調。「問い合わせが毎日ある状況だ」という。

 一方、プロジェクト管理ソフト単体での売り込みから距離を置くのが、「Primavera」の国内代理店であるITエンジニアリングだ。SIerが進行基準への対応を求めてきた場合、ERPパッケージの導入で財務会計や管理会計を強化したうえで、Primaveraを導入するよう勧めているという。

 同社ビジネスソリューション事業部の内田貴子EPMソリューション営業チームマネージャーは、「進行基準に対応できる態勢を整えるのであれば、単にプロジェクト管理ツールを導入するだけでは効果が薄い」と述べる。ITベンダーが進行基準への対応に重点を置く場合、この点を意識してツールを選択することが肝要といえそうだ。