Windowsには通信相手を自動的に一覧表示する機能が装備されている。Windowsマシンをネットワークに接続しただけで,コンピュータ名の一覧にそのマシン名が表示されるのは,「ブラウジング」が自動で機能するようになっているためだ。この一覧は「マスター・ブラウザ」と呼ばれるコンピュータが保持している。

 Windowsでネットワークといえば,デスクトップやスタート・メニューに表示される「マイネットワーク」や「ネットワークコンピュータ」をまず思い浮かべるだろう。これらのアイコンをダブル・クリックすると,ネットワークに接続されているコンピュータの一覧がウインドウに表示される。その中にフォルダやファイルの共有を許可しているコンピュータがあれば,エクスプローラなどを使って,ネットワークを意識することなくこれらの資源にアクセスできる。

ネットワークを意識せずに済むWindows

 今となっては当然のように存在するこの機能が,実はWindows 95から標準搭載された,Windows独自の機能であることをご存知だろうか。

 そもそも,コンピュータのOSとネットワークの機能は,同じレベルで語られる部類のものではない。正しくは,ネットワークを実現するソフトウエアが,OSの機能を利用しているだけである。このことはUNIXなど他のOSに詳しい読者なら当然のことと認識しているはずだ。

 例えば,ファイルを別のコンピュータにネットワーク経由で渡したいと思ったとする。この場合一般的には,2つの方法が考えられる。1つは,ファイル・サーバーをインストールする方法である。ファイル・サーバーは,文字通り「ファイル共有をサービス」するソフトウエアである。ところが,話はこれで終わらない。ファイル・サーバーにアクセスするためには,専用のクライアント・ソフトウエアも必要になるのだ。この両者がそろって初めて,ファイルを別のコンピュータにネットワーク経由で渡すことができる。

 もう1つの方法は,ピア・ツー・ピアを実現することである。ピア・ツー・ピアとは,2台のコンピュータでお互いのディスクなどの資源を共有する技術だが,当然,この場合も両者のコンピュータにピア・ツー・ピアを実現するソフトをインストールする必要がある。

 しかしWindowsではいずれのソフトウエアも標準で搭載され,しかも通信相手のコンピュータ名やIPアドレスをあらかじめ調べておく必要はない。基本的にはコンピュータをネットワークで接続するだけである。それこそ,2台のWindowsパソコンをクロス・ケーブルで接続し合うだけで,ローカルな環境であるがごとく,お互いの資源を共有できてしまう。

 このとても便利な「Windowsネットワーク」は,大きな2つの機能によって支えられている。その1つは「ブラウジング」もう1つは「名前解決」である。今回はその中でも,Windowsネットワークがどのようにしてネットワーク上の他のコンピュータを発見するのか,その秘密の鍵を握る「ブラウジング」という機能について詳しく解説しよう(図1)。

図1●どうしてネットワークに接続しただけで,一覧に表示されるのか?<br>Windowsコンピュータは,ネットワークに接続しただけで,「マイネットワーク」や「ネットワークコンピュータ」で表示されるコンピュータの一覧に追加される。
図1●どうしてネットワークに接続しただけで,一覧に表示されるのか?
Windowsコンピュータは,ネットワークに接続しただけで,「マイネットワーク」や「ネットワークコンピュータ」で表示されるコンピュータの一覧に追加される。
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