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特別対談

時代錯誤の舞台装置はもういらない---続々・「マスゴミ」と呼ばれ続けて

島田 昇=日経コミュニケーション 2008/10/14 日経コミュニケーション
ファクタ出版発行人兼編集長・阿部重夫氏(左),ITジャーナリスト・佐々木俊尚氏
ファクタ出版発行人兼編集長・阿部重夫氏(左)
ITジャーナリスト・佐々木俊尚氏

 なぜマスコミは「マスゴミ」と呼ばれるのか---。筆者の体験談,友人たちの座談会を通じ,この問題について考えてきた(関連記事1関連記事2 )。今回はさまざまな事象の深層に迫る総合情報誌「FACTA 」を発行するファクタ出版の発行人兼編集長・阿部重夫氏とITジャーナリスト・佐々木俊尚氏の対談により,三たび,この問題について考える。2人はマスコミの根底には時代錯誤の舞台装置があるとし,記者の個人能力向上による脱却が重要なカギを握ると指摘する。

真のジャーナリズムは調査報道にあり

なぜマスコミが「マスゴミ」と呼ばれるのか,その問題点と解決策について,2人の対談を通じて考えていきたいと思います。まず,阿部さんがFACTAに至るまでの経緯と背景について教えて下さい。

阿部氏:日本経済新聞社に入社し,基本的には事件を追いかけることが仕事の社会部の記者として出発しました。当時,一番大きな経験をしたのは世界規模の汚職事件となった「ロッキード事件」。全国紙各社はこの事件の取材に優秀な記者を大量導入し,スクープ競争を展開しました。

 しかし,この事件では文芸春秋に掲載された立花隆氏の記事が全国紙の記事を圧倒しました。当時の首相で後にロッキード事件絡みで逮捕される田中角栄氏の金脈を膨大な取材データから暴き,田中退陣のきっかけを作ったとされる内容だったためです。警察などからのリークが多い新聞報道とは全く異なる徹底した調査報道を見せ付けられたことは,大きな衝撃でした。

 何もないところから取材をし,記事が出た瞬間には誰もそれに迫る内容を書けない記事こそが,真のスクープでありジャーナリズムであると体感したことが,私のジャーナリストとしての原点となりました。このため,わたしはマスコミの可能性は調査報道にあると考えており,新聞の世界を飛び出し,現在,それを行うためにFACTAを発行しています。

新聞記者のままでは調査報道はできなかったのですか。

阿部氏:何度か試みたことはあります。ただ,調査報道は手間がかかる割にリスクが高く,今の新聞各社は徹底した調査報道をするだけの覚悟もないでしょう。むしろ,新規参入がない恵まれた独占的地位にある新聞各社は,権力の監視機関である一方,自らも権威化し,ビジネスとして旨みがない調査報道を断行しようとする状態にはないと考えています。

失われた一次情報の論考・分析

佐々木さんも新聞社の社会部が始まりですよね。

佐々木氏:毎日新聞社で長く警察担当をしていました。新聞社に入社した理由は,「知的なものの総本山」というイメージが強かったためです。ただ,実際に入社してその幻想はすぐに崩れました(笑)。

阿部氏:実態は肉体労働ですからね(笑)。

佐々木氏:殺人事件などの取材には知性などは必要ありません。ひたすら警察官に頭を下げて情報をもらい,事件の目撃者などに聞き込みをし続ける毎日。何とかやる気を保っていられたのは,「スクープをして嬉しい」だとか,「事件の中心にいる“時代の目撃者”」とでも言うような感覚があったためです。

 しかし,ジャーナリズムは一次情報の取材と,一次情報の論考・分析という2つの基本的なレイヤーで成り立っています。日本の新聞は特に後者の一次情報の論考・分析が,米国の新聞などと比べて弱い。しかも,それは日本の新聞が劣化したのではなく,こうした傾向は今も昔も同じで,何となく戦後の日本の言論界を新聞がリードしてきたような幻想だけが存在し続けてきました。そしてなぜかいつの間にか新聞は権威化し,一方では重要な論考・分析のレイヤーをきちんと鍛えてこなかった。

 わたしは自分で十分に考えたことを発言する仕事をしたかったし,夕方から酒を飲んでは偉そうなことばかり言う管理職にもなりたくはなかったので,アスキーを経てフリージャーナリストになりました。ただ,新聞社を辞めて新聞の報道を一般読者として読んだとき,「もう自分は時代の目撃者でも何でもない」と変に寂しい気持ちになったことを覚えています。

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