新入社員や後輩に専門知識をどうやって教えれば理解してもらえるのか,頭を悩ませた経験はないだろうか。本書はそんな悩みを解消してくれるティーチングに関する本だ。

 教材の作り方や,説明する際のシナリオの作り方,学習者への働きかけ方に関する「17の原則」をまとめている。例えば「疑問先行の原則」というものがある。人の頭は疑問を持ったときによく働くから,「なぜでしょうか?」といった疑問を投げかけると効果的だという。

 本書の後半は習得編で,ITの専門知識を教えている場面を再現している。「レイヤー3スイッチ」「仮想アドレッシング」「(C言語の)ポインタ」など,実際に教えるのが難しいと思われる20の課題を取り上げて説明している。読んでみると,「こう話せばいいのか」「こういう図がいいのか」と,うならせるものが多い。

ITの専門知識を素人に教える技

ITの専門知識を素人に教える技
開米 瑞浩/森川 滋之共著
翔泳社発行
2394円(税込)