長谷 和幸(ながたに かずゆき)
アイテック情報技術教育研究所 主席研究員

 今回は「IPアドレス」を取り上げる。このIPアドレスひとつをとってみても,試験対策として学ぶべき項目はいくつもある。すべてを紹介することはできないので,今回は基本中の基本となるIPアドレスの割り当てを確実にマスターすることを目指そう

今日の問題

問1 IPアドレスとルーティングに関する次の記述を読んで,設問1~4に答えよ。

 複数のホスト上で動作しているプログラムの間で送受信されるアプリケーションのデータは,IPパケットによって送信元ホストから送信先ホストまで転送される。IPパケットは,送信先ホストのIPアドレスや送信元ホストのIPアドレスが書かれたヘッダ部と,アプリケーションのデータが格納されたデータ部からなる。

 IPパケットに含まれる送信先ホストのIPアドレスは,ネットワーク内のホストやルータに設定されたルーティングテーブルのIPアドレスのネットワークアドレス部と比較され,転送先のルータが決定される。この動作が順次繰り返されて,最終的に送信先ホストに送信される。

 IPパケットの転送においては,システムごとにIPパケットの生存時間が決められている。生存時間は,IPパケットがルータを一つ通過するごとに一つずつ減らされる。生存時間が0になると,IPパケットが破棄され,送信元にを通知する。これは,ルーティングテーブルの不具合によって,IPパケットの転送がしてしまうことを防止するためである。

 S社では,次の図に示すネットワーク構成の社内LANを新たに構築することにした。

図●ネットワーク構成
図●ネットワーク構成
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 S社の社内LANには,IPアドレス1xx.64.10.0/25が割り振られている。この場合のサブネットマスクは255.255.255.128であり,ネットワークアドレスは,ブロードキャストアドレスはである。

〔S社の社内LANのサブネットにおけるIPアドレスの付与基準〕

(1) 最も若いアドレスは,サブネットアドレスである。

(2) サブネットアドレスの次に若いアドレスは,ルータに割り振る。

(3) ホストの番号の順に残りのアドレスを割り振る。

(4) ホストアドレス部のすべてのビットが1のアドレスは,ホストのアドレスとして使用しない。

 S社のシステム管理者が,図の社内LANのルータA,Cに対応したルーティングテーブルを次の表1,2に示すように設定した。

表1●ルータAのルーティングテーブル
表1●ルータAのルーティングテーブル
表2●ルータCのルーティングテーブル
表2●ルータCのルーティングテーブル

設問1 に入れる適切な字句を,それぞれ3字以内で答えよ。

設問2 に入れる適切な値を答えよ。

設問3 表1,2を参考にして,図中のに入れる適切なIPアドレスを答えよ。また,図中のn(サブネットAのホスト台数)の最大値を求めよ。

設問4 表1,2中のに入れる適切なIPアドレスを答えよ。

(平成18年度春期ソフトウェア開発技術者午後I問1を改変)

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