企業に勤めている方々の多くは,会社からパソコンを支給されて業務に利用しているはずだ。もちろん,筆者もその一人である。筆者が入社した当時,パソコンはほとんど文書作成用途にしか使っていなかった。だが現在,パソコン無しでは日々の業務が回らないほどに不可欠な存在になっている。もし,このパソコンがいきなり壊れてしまったらどうだろう。山積していく業務を横目でにらみながら,復旧処理をしている姿を想像するだけで憂うつになる。そして,少なくとも現在,筆者は有効と思える解決策を見出せていない。

 朝,パソコンに電源を入れると,OS(筆者はWindows XPを使っている)のログイン画面が表示されるまでに結構時間がかかることがある。そんなときは,昨夜までは動いていたからいきなり壊れるはずはないという気持ちと,とうとうダメになったか,という気持ちが交錯してドキドキする。また社内で,故障したパソコンを修理してソフトをインストールし直し,環境設定をしている人を見かけると,自分は単に運がいいだけだという再認識を迫られる。

 筆者とて手をこまぬいているわけではない。とりあえず,OSやアプリケーションを含めてハードディスクの内容をまるごとバックアップして復元できるソフトを購入。このソフトを使って,パソコン内蔵ハードディスク全体のバックアップ・アーカイブを,週一くらいの頻度で外付けハードディスクに作るように心がけている(たまに忘れますが)。これである程度の安心は確保しているつもりになっているのだが,不安がないわけではない。

 まず,本当にうまく復元できるのかどうかということ。ひょっとすると,バックアップする手順が間違っていたり,自分の環境との相性が悪かったりして,復元に失敗するかもしれない。事前に試してみれば良いのだが,万が一,失敗したらと考えると二の足を踏んでしまう。

 次に,ハードに故障が発生した場合に,パソコン・メーカーに修理してもらうのには,やはりそれなりの日数が必要になるであろうということ。少なくともその間,代替のパソコンで業務を遂行するのに必要な最小限のソフトをインストールし,環境を設定しなければならない。修理が長引いた場合,故障したパソコンが戻ってきたころには,業務に使うソフトのほとんどを代替パソコンにインストールして環境設定もほとんど終えていた,ということにもなりかねない。「それだったら,クラウド・コンピューティングですよ」という声が,後ろから聞こえてきそうだが…。