図●各社が新たなデータセンターにより強化するソリューション
図●各社が新たなデータセンターにより強化するソリューション
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 2008年後半からITベンダー各社が新設・増床したデータセンターは、新しいソリューションを強化するための“中核基地”である。「プラットフォームサービスの拡充」や「グリーンIT化の実現」、「内部統制への対応支援」といったソリューションを提供するためには、次世代型のデータセンターが必要というわけだ()。

 プラットフォームサービスの拡充のためにデータセンターを新設・増床しているのが、富士通やNEC、CTCなどである。

富士通は最大級のセンターを新設

 富士通はSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)事業向けのシステム「SaaSプラットフォーム」を、2009年10月に新設する群馬県・館林のデータセンターで動かす。このデータセンターは、面積が2万2000平方メートルと、1棟でみれば国内最大級の規模である。

 米国電気通信工業会が定めるデータセンターの品質基準で、最高レベルの「Tier4」を取得できる設備を整える。「当社のようなSaaSプラットフォームベンダーは、最高レベルの信頼性や、拡張性の高いシステムインフラを整備しておくことが必要だ」。富士通の佐藤直人サービスビジネス本部アウトソーシングサービス推進部担当課長は、こう語る。

 NECはサーバーやOS、ミドルウエアを月額料金で貸し出す「RIACUBE」の拠点と位置づけた。CTCも同様である。オンデマンド型で仮想化環境を提供する「IT統合基盤サービス」向けのシステムを、新データセンターに集約する。

 次世代データセンターは、ユーザー企業のグリーンIT化を実現するための役割も果たす。最新型の空調・電源設備や、ブレードサーバーなど省エネ型のIT機器を導入し、省エネ対策を講じている。

 さらに、ユーザー企業が内部統制を強化するための機能も持たせる。ITホールディングスやNECなどは、新しいデータセンターで、内部統制の有効性を証明する監査基準18号報告書を取得するとしている。