今回のITpro EXPOでは,環境へのリアルな取り組みとして「カーボンオフセット・イベント」に挑戦する。排出権の購入や,ICタグ利用による名簿管理で紙の使用量を削減し,イベント期間中に排出するCO2をオフセット(相殺)する。またポイント・ラリーでは,エコマネーを抽選で獲得するチャンスがあるので,ぜひ挑戦してほしい。

 ITproではグリーンITサイトを2007年秋に立ち上げ,IT機器の省電力化やITを活用した環境負荷削減策などの情報を発信している。その一環として今回のITpro EXPOでは,リアルな取り組みとして,「カーボンオフセット・イベント」に挑戦することにした。

 カーボンオフセットとは,企業の事業活動や家庭での日常生活で排出される二酸化炭素(CO2)を,排出権(クレジット)やグリーン電力の購入などによって相殺(オフセット)すること。最近のエコブームを追い風に,食料品,日用品,パッケージ旅行に至るまで,カーボンオフセット商品が次々と登場している。

21.8トンのCO2排出量を削減

 では,どうやってITpro EXPOをカーボンオフセット・イベント化するのか。環境省によれば,イベント期間中に使用する消費電力量の20%に当たる排出権を購入すれば,「カーボンオフセット・イベント」と銘打つことができるという。そこでITpro EXPOでは,会場となる東京ビッグサイトの年間消費電力量からCO2排出量を割り出し,イベント期間中のCO2排出量を算出,その20%に相当する排出権を購入することにした(図1a)。

図1●ITpro EXPOでのカーボンオフセット・イベント化の仕組み
図1●ITpro EXPOでのカーボンオフセット・イベント化の仕組み
カーボンオフセットの仕組みは,(a)「排出権(クレジット)の購入」と(b)「ICタグ利用による紙の削減」に分かれる。(a)では,イベント期間中に使用する電力量の20%に当たる排出権を購入する。(b)では,来場者と出展社がICタグによる入場管理システムを利用することで,CO2排出量を削減する。
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 具体的なオフセット量は次の通りだ。東京ビッグサイトの年間消費電力量によるCO2排出量は3万9840トン。ITpro EXPOは3日間の開催で,期間中は全館の約1/3のフロアを利用するので,109.15トンの排出が見込まれる。この20%をオフセットすると,21.83トン分の排出権を購入すればよい。

 そこでITpro EXPOでは,英国の化学メーカーであるイネオスケミカルの日本法人が,韓国のウルサンで行ったフロン破壊事業によって取得したCER(クリーン開発メカニズムによるクレジット)の排出権を購入することにした。自動車のエアコンの冷媒などに使われる代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)は,CO2の1万倍以上の温室効果があり,世界各地で多くのHFC破壊プロジェクトが行われている。イネオスケミカルが実施したHFC破壊事業は,京都議定書に基づくCDM(クリーン開発メカニズム)プロジェクトとして2005年に認定されている。

 ただ,排出権を直接購入するには1000トン単位での取引になる。このため,ITpro EXPOでは北海道のオフセット・プロバイダ(排出権の小口販売を手がける事業者)のエコノスを通じて購入した。

 ITpro EXPO展示会場内のグリーンITショーケースでは,排出権を購入したことを示す「オフセット証明書」を掲示するので確認してほしい。