新しく電柱に線を張るにはどんな手続きが必要なの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
阿部 一貴
総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部
事業政策課 課長補佐

飯島 要介
総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部
事業政策課

 日頃は気にしないことかもしれませんが,電柱にはちゃんと持ち主がいます。日本の電柱は主にNTT東日本/西日本,各地の電力会社,鉄道事業者のいずれかが所有しています。

 電柱に新しくケーブルを張りたい場合は,電柱を所有する企業や,設置されている土地の所有者に連絡して許可を取り,必要に応じて料金を払って利用します。許可を取るのにどんな手続きが必要かは,電柱を所有する企業との個別交渉になります。

 ただし,認定電気通信事業者が許可を求める場合は,「公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン」(総務省)によって,必要な手続きや期間,使用を拒否できる条件などの例が示されています。

 しかも,このガイドラインは電柱の所有企業に対して,手続きの内容を公開するよう求めています。各企業のWebサイトなどを見れば,認定電気通信事業者向けの手続きの詳細を確認できるでしょう。使用許可を得るには一般に,設置したい設備の概要や,利用希望時期などをまとめた調査依頼書を所有企業に提出し,調査を経て着工が許可されます。

 電柱に空きスペースがない,5年以内に電柱の所有企業が全スペースを使う予定があるなど,やむを得ない事情があるケース以外は,所有企業は電柱の使用を拒否できません。使用期間は原則として5年間です。

 以前は,使用許可に必要な手続きはこれ以上に煩雑でした。例えば,許可を求める申請書を電柱一本ごとに提出する必要があったのです。そのため,総務省ではガイドラインの改正を重ね,手続きの簡素化を進めてきました。2007年4月の改正では,電柱の所有企業に対し,上記のような「定型的かつ反復して行われる申し込み」について,手続きの効率化に努めるよう求めています。