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「多機能の銀行システムで、先行他社に追い付く」、住信SBIネット銀行 木村紀義 常務取締役CTO
写真1●住信SBIネット銀行の情報システム部門を統括する木村紀義・常務取締役CTO
住友信託銀行とSBIホールディングスが折半出資して2007年9月に開業したインターネット専業銀行の住信SBIネット銀行(東京都港区)が、「目的別口座」など独自のサービスを武器に、業容を拡大している。2008年8月までに総預金残高4000億円を突破し、先行するネット専業銀行との差を急速に縮めた。システムを統括するのは木村紀義・常務取締役CTO。以前はイー・トレード証券(現SBI証券)でシステム開発責任者を務めたネット金融業界のベテランだ。 総預金残高を急速に伸ばしているのには理由がある。住信SBIネット銀行の預金口座と、SBI証券の口座が連動する「SBIハイブリッド預金」だ。SBI証券での有価証券の売却代金などは、自動的に住信SBI銀行に入金される。従来、SBI証券での有価証券の売却代金は自動的に別な投資信託の運用先に預けられる仕組みだったが、ハイブリッド預金によりSBIグループ内だけで投資資金が循環するようになり総預金残高を増やす結果につながっているのだ。顧客には普通預金より高い金利(0.45%=2008年9月19日現在)を提供している。「ネット証券とネット銀行が連携して初めて実現するこの仕組みは、ほかの銀行にはまねできない」と木村氏は強調する。「結婚資金用」「海外旅行資金用」など目的別に口座を分け、目標期間・金額を設定して管理できるサービスなども、金融リテラシーが高い顧客を取り込むのに奏功しているようだ。金融庁は新規開業銀行に3年以内の黒字化を求めている。木村氏は「早期黒字化のため、サービス強化には優先順位を付ける」と話す。現在最優先で取り組んでいるのが、2008年内の稼働を目指す住宅ローン業務支援システムだ。住宅ローンは安定した収益を見込める一方で、住宅図面や本人の健康診断書など多数の紙の書類を審査するのに手間がかかる。サービス開始当初は人手に頼っていたが、書類のペーパーレス化などによって人手をかけずに申し込み増加に対応できる体制を整える。
写真2●住信SBIネット銀行のキャッシュカード。「ミカン支店」「ブドウ支店」など3文字の果物の支店名が割り当てられる
「長期的には、書類をお客様が自分でスキャンして送信できるようにしたい。証券会社も、昔は担当者がいてお客様に株価を伝えたり注文を入力していたりしていたが、今はお客様が自分で画面上の株価を見て注文を入力する。これができるのがネットの強みだ」(木村氏) セキュリティーに関する考え方も独特だ。一般にネット銀行では、ログイン時に複数パスワードの入力を求めるところが多いが、住信SBIネット銀行はユーザー名とパスワードだけでログインできる。ログイン時のセキュリティーは簡易にしつつ、出金・振り込みなどの時には本人認証を厳格にしている。コストを抑えるため、一部ネット銀行が採用するトークン式ワンタイムパスワードではなく、モバイルキー(顧客が持っている携帯電話の個体識別番号を利用した本人認証方式)を選択した。「ログインが面倒では利便性を損なう。お金が“外に出る”ところだけを押さえようと考えた」(木村氏) 1年半の開発期間で、海外製パッケージ導入勘定系システムには、日本IBMが販売しているパッケージ・ソフトウエア「NEFSS」を採用した。NEFSSは海外製の銀行向けパッケージ「Corebank」に日本IBMが手を加えて販売しているもの。初期投資額は約100億円と大きいが開発開始から1年半で開業にこぎつけた。「検討したパッケージの中で、コスト面では一番高かったが、多彩なサービスを実現できる柔軟性を重視してNEFSSを選択した」(木村氏) Corebankを日本の銀行で導入した事例はほかにない。住信SBIネット銀行と同時期に地方銀行のスルガ銀行が同じパッケージを導入しようとしたが、システム構築を中止しIBMに約110億円の損害賠償を求めて提訴する事態に陥った(関連記事)。住信SBIネット銀行の場合、新規開業なのでサービス設計とシステム設計を同時に行いながら導入できたことが成功につながったようだ。当座貸越(定期預金を担保にした自動融資)など、日本の銀行に特有の仕様の追加開発があったものの「Corebankは、既存店舗が無い状態でゼロから銀行を作るのに適していた。IBMは細かな仕様追加にも柔軟に対応してくれた」と木村氏は振り返る。
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