「ブロードバンド/モバイル/NGN時代の企業ネットワーク実態調査」の結果,マネージド型のインターネットVPNを採用する企業が増えていることがわかった。一方,NGNの導入意向は,検討中を含めても1割に達していない。その原因は,サービス内容が不明確であること。
通信事業者やシステム・インテグレータが設計,導入,運用を手掛けるマネージド型のインターネットVPNについては,利用する企業は387社(35.2%)。昨年の32.4%(1162社のうち377社)よりも3ポイント近く増えていた。広域イーサネット利用企業の一部がマネージドVPNに乗り換えていると考えて良さそうだ。
ランキングでは,2006年,2007年に続いてNTTコムの「OCNビジネスパックVPNおよびOCN-SMF」が1位となった(図1)。利用率は19.4%で前年比で0.2ポイント減った。
マネージドVPNで利用率が伸びたのは,ソフトバンクテレコムの「ULTINA Managed VPN」(11.4%,前年比1.1ポイント増)と,NTT東西の「Ephelio-VPNおよびVPNext」(5.2%,同0.4ポイント増),NTTPCコミュニケーションズの「InfoSphere IPインターネットVPNソリューション」(6.5%,同2.0ポイント増)だった。
NGNの採用見込みは1割に満たず
調査では,2008年3月末にスタートした「フレッツ 光ネクスト」,いわゆるNGN(次世代ネットワーク)の利用状況・意向についても尋ねた。
結果は導入済みが0.5%。移行計画がある,または移行を検討中とした企業は6.0%だった(図2)。移行を検討する理由として最も多かったのは,「QoS(帯域保証)の機能があるから」で54.5%(図3)。これに,将来の拡張性(48.5%),信頼性(40.3%),セキュリティ(39.4%)が続いた。「利用料金が安くなりそうだから」は31.8%で,料金面への期待も高いことが分かる。
スタートから半年たっていないことに加え,「スモールスタート」となった状況からすれば,0.5%と6.0%は妥当な数字と言える。サービスエリアが限定されている現状で6.0%の企業が採用を考えているのは驚きともいえる。
ただ気になるのは,多くのユーザーが明確に「移行する計画はない」と答えている点だ。56.8%と半分以上の企業が計画はないとし,「分からない」または無回答は36.7%にとどまった。
最大の原因は,サービス内容が明確でないこと。移行を考えていない理由についての質問(複数回答)では,「NGNに関する情報が少ないから」という回答が42.2%,「従来サービスとの違いが分からないから」が29.7%に達した(図4)。このほか,新しいサービスであるだけに,「実績がないから」(32.6%)との回答も多かった。
既存サービス,特にBフレッツとの違いをどれだけ明示的に打ち出せるかが,NGN立ち上げのポイントになりそうだ。