Webの歴史を考える時に,「検索」をどのように考えるべきかを暫く悩んでいました。検索エンジンは,いまやなくてはならないサービスですが,通常のWeb技術の発展とは少し距離をおいているように感じるからです。

 大量な情報から指定したものを見つけ出し,ランキングするこの機能は,多サイト間だけでなく,単一サイト内にも多用されつつあります。強力な検査エンジンをサービスとして用いるサイトは増えつつあるといっても良いでしょう。ところが,この単一サイト内という分野に限って言えば,実は,検索とは,Webサイト構築者に対するユーザーからの「ダメ出し」だったと言えるように感じ始めています。今回はこの視点から検索とRIAを考えて見ましょう。

検索とページ遷移:ページ検索とアプリ検索
検索とページ遷移:ページ検索とアプリ検索

最初は「量」がものを言う時代

 Webの黎明期に於けるキーワードは「(情報)量」だったように思います。とにかく大規模なサイトを目指し,大量の情報を提供できることが,ネットの中で確たるポジションを確保する一番の手段だと思われていた節があります。詳細なカタログの集大成を目指していたとも言えるかもしれません。しかし,ユーザーが他でも見られる情報に飽きるのは,時間の問題でした。

 その結果,Webならでは,あるいはそのサイトでしか読めない情報に価値が移ります。この時期には,大手の大規模サイトを差し置いて,個人商店サイトが注目されました。大規模サイトは焦り,そうした方々に教えを請い,なんとか運用していける形を模索しました。それでも,新しい情報(コンテンツ)をそれほど一度に生み出せるはずはなく,基本的に再利用に目が移ります。詳細な情報を,できるだけ運用コストをかけずに,ユーザーに提供する。それこそが,鍵だと思われていました。

 しかし,膨大な情報と,膨大なサイト数を前にして,開発者は,それらがユーザーの望む姿ではないことにすぐに気がつき始めます。まさに情報に埋もれる状態は,ユーザーを迷わせるだけで,そのサイトへの愛着も,信頼も生み出さないことがわかってきたのです。ユーザーの気持ちや立場を考えることの大切さに,情報提供側が気がついたのです。

 整理されていない情報は,単なる羅列に過ぎず,結局使い手であるユーザーの脳内で「整理」というプロセスを強要することになります。しかし,それに疲れた人は,そのサイトを使わなくなっていきます。情報の整理は,言うほど簡単な作業ではなく,単なる再利用情報の寄せ集め状態に対しては,かなり難易度の高いタスクです。IA(Information Architect)という言葉が囁かれ始めますが,多くのサイトでは人力でこの問題を解決することを放棄し始めたように見えました。

 さらに大企業になればなるほど,部署間の調整などが比重を高めます。理論や方法論では制御できない,力学がサイト内に働き始めます。かくして,情報の整理を放棄したサイトが乱立し始めます。