vi(写真1)はUNIX系OSのテキスト・エディタとしてよく知られていますが,皆さんはどのくらい使っていますか。ほとんどのLinuxディストリビューションに含まれていること,viと同じ要領で使うコマンド(visudoやvipwなど)が存在することなどから,いざというときの保険として最低限の使い方を知っている方は多いのではないでしょうか。
ただ,viは昔からあるエディタなので古臭く,今どきのエディタに比べると使い勝手が悪いというイメージを持っている方も多そうです。また,他の多くのエディタと比較するとファイルの編集方法が特殊で,なかなか使い方が覚えられずに敷居が高いと感じている方もいるのではないでしょうか。
viには多くのコマンドがある
viでは,同じ事を実に多くの方法で実現できます。例えば,文字列を張り付けるコピー・アンド・ペースト一つをとっても,それを実現するコマンドが複数存在するのです。それぞれのやり方にはメリットやデメリット,制限事項があるので,編集効率を追求するならば,状況に応じて最適なやり方を選択する必要があります。
viを覚える上で一番の障害となるのが,まさにこのコマンドの多さです。直感的な使いやすさを重視した多くのエディタと比べると,viのコマンドを覚える労力は非常に大きなものに思えてしまいます。
viに初めて触る方にも分かりやすく
本連載では,viの使い方を知らない方,最低限の使い方は知っているけれども使い慣れたエディタと比べてあまりの使い勝手の悪さに尻込みしている方,viをもっと使いこなせるようになりたい方を対象に,viの使い方を紹介していきます。
なお,vi互換エディタである「vim」を基に解説しています。vimはviの機能を拡張したものです。最近のLinuxディストリビューションの多くはviではなく,vimをviとして用いています。
前述したように,vimはviを機能拡張したものです。そのため,vimで使えてviでは使えない機能があります。その点は,解説の中で十分留意します。本文中,viとvimの違いを意識しない場面では,viとvimの両方を指してviと呼びます。
Windowsのメモ帳のように使う
viの使い方を解説するに当たって,当面の目標を設定します。Windowsに「メモ帳」というエディタが含まれていることは大半の方はご存知でしょう。メモ帳は,特に気の利く機能があるわけではなく,ファイルを編集する上で最小限の機能が付いているだけです。
連載最初の数回は,まずメモ帳にできることを,vi上で実現することから始めていきます。