次世代IT基盤の重要技術として話題を集めている「仮想化」は,情報システムにパラダイム・シフトをもたらし,長期的にはIT業界の構造をも変え得るとまで言われています。その入り口に立った今年は,実際の適用事例が増えてくるとともに,仮想化に取り組むITベンダーの動きも活発になりました。そして,昨年まではもっぱら「サーバー仮想化」が話題の中心でしたが,最近ではサーバー以外の領域にも仮想化技術を応用する製品やソリューションの発表が相次いでいます。

 こうした仮想化技術について,基礎から最新トピックまでをカバーする10個の問題を作成しました。ぜひ挑戦してみてください。

(出題◆渡辺 享靖=ITpro)

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【問題1】
 サーバー仮想化とは,「物理サーバー・マシンを仮想化して,その上に複数の仮想マシン(仮想サーバー)を動かす技術」を指します。サーバー統合の手段として注目されています。さて,次の選択肢の中で,サーバーを仮想化しないと実現できないことはどれでしょうか(1つ選択)。

A)複数のWindowsアプリケーションを1台の物理サーバーに集約する
B)1台の物理サーバーにWindowsとLinuxをインストールする
C)1台の物理サーバーで,複数のOSを同時に起動する
D)仮想記憶を使って複数の業務アプリケーションを並列実行する

【問題2】
 サーバー仮想化を実現するためのソフトウエアには,「ハイパーバイザー」と呼ぶ仮想化レイヤーがあります。では,ハイパーバイザーはシステムのどこで動作するでしょうか(1つ選択)。

A)ホストOSとゲストOSの間
B)物理マシンとOSの間
C)OSとアプリケーション・ソフトの間
D)アプリケーション・ソフトとユーザー・インタフェースの間

【問題3】
 サーバー仮想化ユーティリティを使うと,既存の業務システムのほとんどを簡単に仮想化できるとされています。しかし,一部には「仮想化できないシステム」「仮想化するメリットがないシステム」が存在します。一体どんなシステムでしょうか。該当するものを2つ選んでください。

A)数世代前のOSで稼働しているシステム
B)使用頻度が低いシステム
C)大規模なデータベース・システム
D)古い周辺機器,特殊な周辺機器を使用するシステム

【問題4】
 サーバー仮想化技術を導入する動機の1つは「サーバー統合」ですが,VMwareやXenServerなどの仮想化ソフトを導入した企業の多くは,「サーバー統合」以外にも大きなメリットを感じているようです。それは次のどれでしょうか。該当するものをすべて選んでください。

A)ある物理サーバーで稼働中の仮想マシンを,動作を止めずに別の物理サーバーに移せるため,サーバー間の負荷調整を容易にできる
B)夜間などに物理サーバーの稼働率が下がったとき,システムを止めずに一部の物理サーバーの電源をオフにできる
C)業務システムの開発・テスト環境を長期間保存したり,保守時にすぐ復元したりできる
D)メインフレーム上の業務システムを,そのままUNIXサーバーやPCサーバーで動かせる

【問題5】
 サーバー仮想化に続き,今年からにわかに「デスクトップ仮想化」が注目され始めました。これはクライアントPCを対象にした仮想化技術です(注:VMware Virtual Desktop Infrastructure,Citrix XenDesktopが実現するものを指しています)。では,デスクトップ仮想化の仕組みとして正しい説明はどれでしょうか(1つ選択)。

A)クライアントPC上で仮想マシンを動かす仕組み。1ユーザーがWindowsとLinuxを同時利用できる
B)デスクトップ・アプリケーションを仮想化する仕組み。古いアプリケーションを最新バージョンのOSで動作させられる
C)デスクトップ・アプリケーションをサーバー上で仮想的に動かす仕組み。画面データだけを端末側に表示する
D)仮想クライアント・マシンをサーバー上で動かす仕組み。画面データだけを端末側に表示する

【問題6】
 デスクトップ仮想化には,一般的にどんな利点があるでしょうか。該当するものをすべて選んでください。

A)ハードウエアの利用効率が高まり,省電力化につながる
B)情報漏洩対策になる
C)クライアント環境の標準化が容易になる
D)マルチメディア・コンテンツの再生品質が向上する

【問題7】
 ストレージ仮想化の分野では,最近「シン・プロビジョニング」という画期的な新技術がブームになっています。これは,業務システムに割り当てるボリュームの容量を仮想化するものです。例えば,物理的に10Tバイトのハードディスクしか搭載していないストレージ装置でも,業務システムに合計20Tバイトの仮想ボリュームを割り当てることができます。このシン・プロビジョニングをうまく利用すると,どんなメリットがあるでしょうか(1つ選択)。

A)キャパシティ・プランニングが不要になる
B)ディスク領域の使用効率が高まる
C)ストレージ装置の消費電力量が減る
D)上記すべて

【問題8】
 最近の仮想化技術には,サーバー,デスクトップ,ストレージのほかにも,「I/O仮想化」という技術があります。これはどんな仮想化技術でしょうか(1つ選択)。

A)データベースに対する多数のセッション(I/O)を仮想化して,高速化する技術
B)社内ネットワークを仮想化して,物理構成に依存しない仮想的なネットワークI/Oを実現するための技術
C)サーバーのストレージ接続やネットワーク接続といったI/Oを仮想化して,動的に変更できるようにする技術
D)サーバーとストレージ間のI/Oを仮想化して,ストレージの物理構成を隠ぺいするための技術

【問題9】
 仮想化技術を導入する際には,新しい技術であるがゆえに,ライセンスやサポートの面で従来とは異なる考慮点もあります。では,サーバー仮想化環境に関して,事前に確認したほうがよい点は次のどれでしょうか。該当するものを2つ選んでください。

A)パッケージ・ソフト開発/販売ベンダーのサポートを受けられるかどうか
B)パッケージ・ソフトのライセンスが仮想化環境での稼働を禁止しているかどうか
C)仮想化環境で同時接続ユーザー・ライセンスをどのように解釈するのか
D)仮想化環境でプロセッサ・ライセンスをどのように解釈するのか

【問題10】
 サーバー・ソフトウエアの新しい流通形態として,「仮想アプライアンス」と呼ばれるものが徐々に増えています。主要仮想化ソフトの「仮想マシン」に,特定のサーバー・ソフトをインストールした状態でパッケージ化したものです。そんな仮想アプライアンスのメリットとして,「間違っているもの」はどれでしょうか(1つ選択)。

A)インストールの手間が省ける(コピーするだけで動く)
B)パフォーマンス・チューニングの手間が省ける
C)幅広いOSに対応する
D)物理サーバーを交換する場合に,移行作業が容易

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