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 2回目を迎えたグリーンIT検定は,Webサイトと会場を合わせて605人の方に受検していただいた。全体の平均点は33.5点。2008年1月~2月に実施した第1回のグリーンIT検定の平均点が46.5点だったので,10ポイント以上下がったことになる。11種類のITpro EXPO検定のうち,平均点が,Windows検定の27.3点,メンタルヘルス検定の33.3点に次いで3番目に低いという結果になった。

【グリーンIT検定】の受検者数と平均点
  受検者数 平均点
Webサイトでの受検 519 33.6
展示会場での受検 86 33.3
総合 605 33.5

 第2回のグリーンIT検定では,ITpro読者にぜひ押さえておいていただきたい環境に関する基礎知識と,最近のIT業界におけるグリーンIT関連トピックスを出題の2本柱にしている。2008年は7月に日本で主要国首脳会議(洞爺湖サミット)が開かれたこともあり,環境政策において様々な動きがあった。2月に政府の後押しで国内排出量取引制度の導入議論を本格化させ,6月には温暖化対策の基本方針「福田ビジョン」が発表された。またサミット最終日に採択された首脳宣言には,世界が一致団結して環境対策に取り組むという記述が盛り込まれた。

 今回の検定では,こうした政策面に関する問題が半数を占め,受検者にとって答えにくかったことが,平均点を下げることにつながったようだ。

【グリーンIT検定】の正答率
問題 問題1 問題2 問題3 問題4 問題5
正答率(%) 17.4 23.6 17.7 49.9 40.0

問題 問題6 問題7 問題8 問題9 問題10
正答率(%) 22.0 33.1 45.8 52.7 33.1

日本の長期目標を理解している人は2割弱

 まず第1問では,日本の温暖化対策の基本方針である「福田ビジョン」について聞いた。このビジョンの中で,2050年までの国内の温室効果ガス排出量の削減目標が示されたのだが,これをしっかりと把握している人が意外に少なかった。「現状比60~80%削減」と正答できた比率はわずか17.4%。現状を考えるとあまりに野心的な数字なので,回答者は迷ったのかもしれない。最も多かった回答は「現状比30~50%削減」で,ほぼ4割を占めた。

 第2問は,洞爺湖サミットにおいて最終的に合意した首脳宣言の内容を問うもの。宣言自体があいまいな表現に終始していたため,かなり難問だったようで,正答率は23.6%にとどまった。正答を見極めるポイントとしては,2050年までに温暖化ガス排出量を世界で半減させるという長期目標は,結局のところ今回のサミットでも合意できなかったということ。「国連の交渉の場で採択するよう要請する」にとどまったにすぎない。もう一つ,2020~2030年までの中期目標については,先進国であるG8各国が国別の総量目標を掲げて対策を行うことで合意したが,排出量が急激に伸びている中国やインドなどの新興国については国別目標の枠組みからは外れてしまったことを理解しておく必要がある。

 このほか,正答率が低かったものとしては,第6問の「ITの活用によるCO2排出削減効果」に関する問題がある。2008年4月,総務省は「地球温暖化問題への対応に向けたICT政策に関する研究会報告書」を公表し,3年ぶりに情報通信技術を活用することにCO2削減効果についての試算結果を示した。それによれば,2012年度に「IT活用」によるCO2削減量から,IT機器の電力消費によるCO2排出量を差し引いた削減効果は,「3800万トン」になるというのだが,正答率は22.0%と低かった。最も多かったのが「1800万トン」(32.6%),次が「2400万トン」(31.7%)で,いずれも正答よりかなり低い数字。ITによるCO2削減効果をそれだけ低く見積もっている人が多いということだろう。まだまだこのあたりの情報が不足していることがわかる。