前回までは,システム振舞いと画面設計に関する工程成果物の書き方のコツとレビューのコツを紹介してきました。今回からは,[データモデル編]と題して,データモデルのレビューのコツを紹介していきます。

 始めに,データモデルを表現するための工程成果物を説明しておきましょう。データモデルに必要な成果物は,各社でさまざまな定義をしていますが,「発注者ビュー検討会」では,次の4種類を,データモデルに関する工程成果物として定義しました。

■ER図
 情報のまとまりを「エンティティ(Entity)」,情報の相互関係を「リレーションシップ(Relationship)」で表したものです。

図1●ER図の例
図1●ER図の例
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■エンティティ一覧
 エンティティを識別する名称の一覧。ER図やエンティティ定義書の“目次”的な位置付けとなり,エンティティごとの簡単な補足を説明できます。

図2●エンティティ一覧の例
図2●エンティティ一覧の例
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■エンティティ定義書
 エンティティに属する項目の内容と項目のレイアウトを表したものです。

図3●エンティティ定義書の例
図3●エンティティ定義書の例
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■CRUD図
 エンティティのインスタンス(具体的なデータ)が,どの機能で作成(C:create),参照(R:read),更新(U:update),削除(D:delete)されるかを,エンティティと機能のマトリックスで表現したものです。

図4●CRUD図の例
図4●CRUD図の例
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