Vistaでは,スタート・メニューから「ネットワーク」のウインドウを開いた時点で,ネットワーク上にあるすべてのグループのコンピュータ一覧情報を取得するところまで自動的に実行している。このときに,従来方式であるNetBIOSのブラウジングを利用して得た情報と,Vistaで新たに採用したネットワーク探索方式で取得した情報を併せて表示している。

 まずは,NetBIOSを使った従来のブラウジングのしくみを確認しておこう(図4)。

図4●NetBIOSブラウジングのしくみ<br>ワークグループやドメインといったグループごとにマスター・ブラウザがあり,それぞれのマスター・ブラウザが各グループに所属するパソコンの情報をリストとして管理する。各パソコンが必要に応じてブラウザにリストを要求することで,ネットワーク上にあるパソコンがわかる。
図4●NetBIOSブラウジングのしくみ
ワークグループやドメインといったグループごとにマスター・ブラウザがあり,それぞれのマスター・ブラウザが各グループに所属するパソコンの情報をリストとして管理する。各パソコンが必要に応じてブラウザにリストを要求することで,ネットワーク上にあるパソコンがわかる。
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NetBIOSブラウジングのしくみを押さえよう

 NetBIOSのブラウジング機能は,クライアント・サーバー方式で実現している。ネットワーク上に存在するワークグループ/ドメインといった各グループごとに,それぞれの所属コンピュータ情報を管理するサーバーが存在する。各パソコンでネットワークやマイネットワークのメニューを選ぶと,そのサーバーからコンピュータの一覧情報(ブラウズ・リスト)を受け取って画面上にアイコンとして表示しているのだ。

 このブラウズ・リストを管理しているサーバーが“ブラウザ”である。ブラウザには,表1に示した種類があるが,中心的な役割を担っているのは「マスター・ブラウザ」と呼ばれるものである。Windowsパソコンは,ネットワークに接続すると,マスター・ブラウザに自分の存在を通知する。各パソコンは動作している間,自分の存在をマスター・ブラウザへ定期的に通知し続け,シャットダウンの際にはネットワーク上から消えることを通知する。マスター・ブラウザは,こうした各コンピュータからの通知に基づいて,ブラウズ・リストを作成・更新するのだ。

表1●Windowsネットワークに参加するパソコンの種類
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表1●Windowsネットワークに参加するパソコンの種類

 マスター・ブラウザに加えて,バックアップ・ブラウザと呼ばれるブラウザも存在する。バックアップ・ブラウザの目的は,文字通りマスター・ブラウザをバックアップすること。最新のブラウザ・リストをマスター・ブラウザから受け取って,代理として各パソコンに渡すことで負荷を分散する。具体的には,図3の例で示したように,まずマスター・ブラウザと通信して,マスター・ブラウザとバックアップ・ブラウザを合わせたブラウザの一覧情報を取得してから,その一覧の中で1台を選んでコンピュータの一覧情報を要求するのだ。

 ちなみに,マスター・ブラウザは各グループに少なくとも1台が存在する。さらに,一つのグループに所属するコンピュータが,異なるネットワーク・セグメントに分かれている場合は,各セグメントごとにグループのマスター・ブラウザが設置される。これは,ブラウジングを実現するために重要となるブロードキャスト・パケットが別のセグメントには伝わらないからだ。