写真1:9月2日に都内で開催した発表会のようす
写真1
9月2日に都内で開催した発表会のようす
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 スカイパーフェクト・コミュニケーションズは2008年9月2日に東京都内で, 東経124・128度CS放送「スカイパーフェクTV!」におけるHDTV(ハイビジョン)サービス「スカパー!HD」に関する発表会を開いた(写真1)。2008年10月1日に開始する第1期のサービスでは15チャンネル,2009年10月に開始予定の第2期のサービスでは70チャンネル以上のHDTV放送を行う。今回は,スカイパーフェクトのHDTV放送が衛星放送業界にどのようなインパクトを与えるかを考えてみる。


 スカイパーフェクトは現在,スカイパーフェクTV!のほかに,東経110度CS放送の「e2 by スカパー!」,ブロードバンド(高速大容量)回線を利用した「スカパー!光」(グループ会社のオプティキャストが提供)などの放送サービスを行っている。このうちスカパー!光では,地上デジタル放送やBSデジタル放送の再送信サービスを格安で提供し始めたところである。一般視聴者に「スカパー」ブランドも浸透してきており,BS放送でブランドを先行させるWOWOWの再送信サービスを担うところまでこぎ着けてきた。

 しかし,衛星放送事業を取り巻く環境は厳しい。スカイパーフェクトの累積加入者数は伸び悩んでいる。今後は,ジュピターテレコム(JCOM)のようなケーブルテレビ(CATV)事業者,NTTぷららが提供するブロードバンドサービス「ひかりTV」などのライバルの勃興も予想される。こうした状況を受けて2008年10月には,スカパーJSATホールディングス傘下のスカイパーフェクトとJSAT,宇宙通信(SCC)の3社が合併し,新生「スカパーJSAT」がスタートする。前回の記事で触れたように,BSデジタル放送と東経110度CS放送を「東経110度衛星放送」として一体化するという総務省の方針が打ち出されるなど,衛星放送普及へのテコ入れ策も控えている。


HDTV化には周波数の限界がある東経110度CS放送

 東経110度CS放送は周波数に限界があり,スカイパーフェクト自身が編成権を行使できるHDTVチャンネルを増やすことが難しい。半面スカイパーフェクTV!は,マスメディア集中排除原則の適用も緩やかだ。こうした環境下で現在のSDTV(標準画質テレビ)サービスを「スカパー!SD」と位置付け,スカイパーフェクト自身が編成権を行使できる「スカパー!HD」をスタートさせることにした。9月17日からプロモーション放送として,「スカチャンHD」を提供する。10月1日には本放送を開始し,代理店の営業活動も始まる。

 9月2日の発表会において実際の衛星波を受信したテレビ画面を見る限り、HDTVサービスは32~37インチのテレビ画面でも十分に鑑賞に耐え得ると感じた。平均伝送レートは7Mb/s程度だという。BSデジタル放送や東経110度CS放送では「ISDB」という放送方式と,「B-CAS」という限定受信方式の採用が義務付けられている。これに対してスカイパーフェクTV!のHDTV放送が選択したのは「DVB-S2」という放送方式と,ソニーのCASを発展させたと思われる独自のCASである。