プロジェクト・マネージャ(PM)が、プロジェクトの利害関係者の中で一番気を使うのは誰でしょうか?私は客先だと考えています。

 その理由は立場の違いにあります。同じ会社の部下や上司、パートナ企業のITエンジニアならば、「客先の欲しいシステムを作り上げる」という立場が同じなので、価値観を共有できます。しかし客先とは、必ずしも価値観を共有できるとは限りません。これが客先との関係を複雑にします。

 だからこそ、客先とは戦略的に付き合わなくてはなりません。そのために必要なのは「十分客先のことを知る」ことです。客先が何を考え、何に価値を見出すのか。それが分からなければ、PMが客先をコントロールすることは不可能なのです。その重大さを認識してほしくて、「さ」にはこのフレーズを選びました。

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図●最初に、十分客先を知る!
芦屋 広太(あしや こうた)
システムアナリスト/IT教育コンサルタント。SE、PM、システムアナリストとしてシステム開発・システム統合などを経験。この過程で調査・分析した内容を「ヒューマンスキル教育」としてモデル化。現場での教育、雑誌・書籍の発表、セミナー・研修に利用する。