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 工数見積もりのチェック項目で特に重要なのは,見積もりの「範囲」を明確にするもの。3番および7~14番に当たり,見積もり対象となる工程や作業をはっきりさせる。

 作業の漏れだけでなく,役割分担も必ず確認したい。ここで誤解が生じると,工数が大きくブレる原因となる。特にシステムテストや運用テスト,移行,ユーザー教育,マニュアル作成は忘れられることが多いので,注意が必要である。

 変動要因となるリスクについては,技術リスクと人的リスクという二つの観点を持つ。技術リスクは規模見積もりの際に把握した機能要件と非機能要件を改めて確認しよう。適用する製品や技術,開発支援ツールも考慮し,メンバーのスキルが十分かどうかもチェックしたい(4~6番および23~25番)。一方の人的リスクについては,意思決定の遅れを招く,関連部門やステークホルダー(利害関係者)の数や特徴を把握するほか,利用部門の参加度合いも見極めたい(26~27番)。

 このほか,算出した工数は期間(スケジュール)を意識する必要がある。そのため工数と期間の関係を確認できる類似案件や,工程別の期間比率などのデータも事前に用意したい(16番,19番,22番,28番)。

 なお,工数見積もりでは,値の妥当性を評価するために2種類以上の技法を使うようにしよう。生産性係数を使った基準値法と,洗い出した作業の必要工数を積み上げていくWBS法を組み合わせることが多い。COCOMO!)を組み合わせるのもよいが,規模見積もりにFP法を使った場合はFP数をステップ数に変換する係数が必要になる。