前回までは,画面設計で大事な設計書である「画面レイアウト」(第5回参照)と「画面遷移図」(第6回参照)の書き方を解説してきました。今回は,画面設計のレビューについて取り上げます。

 画面は,設計の中でも発注者にとても近い存在です。そういう意味では,レビューしやすいテーマでしょう。とはいっても,なんの工夫もせずにレビューの場に臨むと,様々な問題に突き当たります。場合によっては,レビューをすればするほど画面設計に変更が加わり,いつ完了するのか見通しが立たなくなることだってあり得ます。今回は,こうしたことを未然に防ぐ,レビューのコツをお教えしましょう。

画面遷移図,画面レイアウト,入出力項目を別々の冊子にまとめる

 画面設計書には,画面遷移図や画面レイアウトのほか,「画面一覧」や「入出力項目」など,様々な種類があります。言うまでもありませんが,これらはお互いに整合性が保たれている必要があります。

 画面設計レビューでは,こうした異なる種類の設計書をレビュー時間内にたどりながら意見を交わしたり,確認をとったりします。例えば,ある画面設計レビューでは,画面一覧からレビュー対象範囲を確認し,画面レイアウトで表示内容や画面操作を確認し,ある操作を行ったときの画面の変化を画面遷移図で確認する,というような流れになるかもしれません。

 このときに,見比べたい2種類の設計書が,同一の冊子に束ねられていたらどうでしょうか。複数同時に見たい設計書を対応付けて読むために行きつ戻りつページを繰らなければならないので,見比べるのも一苦労です。

 そこで,画面遷移図,画面レイアウト,入出力項目をレビューの際に同時に参照できるよう,別々の冊子として用意しておきます(図1)。もしもレビューで配った設計書のホッチキスを取り外す参加者が現れたときは,冊子にする単位が適切でなかったと思ったほうがよいでしょう。

図1●画面遷移図,画面レイアウト,入出力項目を別々の冊子にまとめる
図1●画面遷移図,画面レイアウト,入出力項目を別々の冊子にまとめる
設計書を納品するのではないのだから,レビューを進めやすい設計書の読み方ができる冊子に束ねる。

 発注者に納品する設計書は,画面遷移図,画面レイアウト,入出力項目が一つの冊子にまとまっているかもしれません。こうした場合は,それぞれを別の冊子にまとめたレビュー用準備資料を,納品用の設計書とは別に用意します。

 お互いに関連する設計書を効率よく参照するためには,画面に付与される名称やIDが明確になっていることも大事です。

 画面設計で画面に付与される名称やIDは,レビューにおける重要な“標識”です。「まだ外部設計だから」といってそのあたりを曖昧にすると,レビューの効率は低下してしまいます。さらに,レビューで指摘された事項も曖昧になり,結果として設計書の修正を適切に行えず変更も管理できない,という“負の連鎖”にもなりかねません。