UQコミュニケーションズが,モバイルWiMAXサービスで採用する端末認証方式を明らかにした。ユーザーが量販店などで購入したモバイルWiMAXの白ロム端末を,ネット経由でユーザー登録できるようにする見通しだ。メーカーはWiMAX端末を投入しやすくなり,ユーザーもID/パスワードなしの接続で使い勝手が高まる。

 UQコミュニケーションズによるモバイルWiMAXのサービスでは,現行の携帯電話のSIM(subscriber identity module)カードによる端末認証は採用しない。韓国のようにSIMカードを採用した国もあるが,WiMAXフォーラムが現在標準化を進める,加入者情報を端末に直接書き込む方式を採用する。ただし,この方法では端末改造による不正利用が懸念される。そこで「不正利用を極力抑える仕組みを導入する」(同社)。詳細は非公開とする。

 ユーザーは回線契約を締結していない白ロム端末を量販店などで購入し,モバイルWiMAX経由で同社ポータル・サイトにアクセスする。オンラインでユーザー登録すると端末に加入者情報が書き込まれ,以降はIDとパスワードを入力せずにインターネットなどに接続できる(図1)。UQは自社網をMVNO(仮想移動体通信事業者)に対して積極的に開放する方針で,ポータルでは同社またはMVNOから好きな事業者を選択,契約できるようにする。

図1●モバイルWiMAX端末をネット経由でユーザー登録<br>UQコミュニケーションズはSIMカードを採用せず,初回利用時にモバイルWiMAX経由で端末にIDやパスワードなどの情報を書き込むことを想定している。ユーザーはIDやパスワードを入力せずにインターネットに接続できる。
図1●モバイルWiMAX端末をネット経由でユーザー登録
UQコミュニケーションズはSIMカードを採用せず,初回利用時にモバイルWiMAX経由で端末にIDやパスワードなどの情報を書き込むことを想定している。ユーザーはIDやパスワードを入力せずにインターネットに接続できる。
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 SIMカードがないので,パソコンや家電メーカーは事業者を意識することなく,WiMAXの通信機能を端末に組み込める。端末の接続試験は必要だが,WiMAXフォーラムの認証(Wave2/Phase2ベース)を取得した端末をそのまま市場投入できる。

 さらに加入者情報とともにIDとパスワードも端末に書き込むため,ユーザーの使い勝手が高まる。最初にユーザー登録すれば,パソコンを起動しただけでインターネットにつながる。WEPキーのような複雑な設定がなく,無線LANよりも使いやすい。

 UQのサービスは,基本的には「1ID=1端末」の利用形態になり,料金プランも1IDごとの設定になる。1ユーザーが複数端末を利用するケースも考えられるが,その際の料金を1回線分相当とするかどうかは「インターネット接続事業者の役割を果たすMVNOが料金施策で対応を検討する」(坂口肇・マーケティング戦略部長)。

MVNO向け料金を10月下旬に発表

 商用化に向けた準備も順調に進んでいるようだ。当初の予定通り,2009年2月から東京都23区,川崎市,横浜市の一部で試験サービスを開始。「まずはモニター・ユーザーに無料で使ってもらい,寄せられた意見を商用サービスに反映する」(坂口部長)。試験サービスで使う端末はUSBモジュールやPCカード型を予定しており,無償で貸与する。「数社の端末メーカーと話を進めている。パソコン・メーカー各社にも,商用サービスに併せて提供してもらうよう働きかけている」(同)。

 商用サービスの料金は試験サービス開始時に発表する。現時点では,免許取得時に公表した「1契約当たりの月間平均収入(ARPU)が3200円程度の水準」という方針に変更はない。10月下旬にMVNO向けの卸料金プランを公表するとしており,試験サービスの発表前にある程度の料金イメージは分かりそうだ。