第3回 ターミナル・サービスを管理する」から続く。

7.ファイル・サーバーを使ってユーザー・データを一元管理

7.1.Windows Server 2008におけるユーザー・プロファイルの変更

 デスクトップの背景やスクリーン・セイバー,アプリケーションの起動時のウインドウの位置といったユーザーの環境情報は,「ユーザー・プロファイル」と呼ばれるフォルダ内に保存されている。そのユーザー・プロファイルが,Windows Server 2008において大きく変更されている。

 大きな変更点の1つは,フォルダ名が変更されたことである。従来の「My Documents」が「Documents」になるなど,多くのフォルダ名が変更されている。また,全てのユーザーに影響するユーザー・プロファイルの格納先であるAll Usersフォルダの名称が「パブリック」に変更されるなど,ユーザー・プロファイルの保存先のフォルダ名も変更されている。

 変更点のもう1つとして,フォルダの構成変更が挙げられる。構成変更の中で特に影響が大きいのは,Windows Server 2003では複数の場所に分散していたアプリケーション・データの保存先が,Windows Serverでは「App Data」に集約したことである。これによって,マシン環境に影響を受けるアプリケーション・データもマシン環境に関係のないアプリケーション・データも一様に,App Dataフォルダ以下に存在し,データの種類によって保存されるサブ・フォルダが変更されることになった。

 上で挙げた2点以外にも,新しいフォルダが存在するなど,細かいところで多くの点が変更されている。そのため,Windows Server 2008のターミナル・サービスを運用するためには,しばらく管理者自身でターミナル・サーバーを試用し,どこにどのようなファイルが格納されるのかを理解する必要がある(図22)。

図22●Windows Server 2003とWindows Server 2008におけるユーザー・プロファイルの違い
図22●Windows Server 2003とWindows Server 2008におけるユーザー・プロファイルの違い
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7.2.移動プロファイルとフォルダ・リダイレクト

 複数のターミナル・サーバーを運用する場合に,ユーザーの利便性を確保するためには,どのターミナル・サーバーにログオンしてもユーザーが同じ環境を使用できるようにする必要がある。

 複数のターミナル・サーバーでユーザーが同じ環境を使用するためには,すべてのターミナル・サーバーで,同じユーザー・プロファイルが利用できるようにすればよい。具体的には,「移動ユーザー・プロファイル」と「フォルダ・リダイレクト」の2つの機能を組み合わせ,ファイル・サーバー上にユーザー・プロファイルのファイルのデータを格納し,ターミナル・サーバー間で同期させる。こうすることで,複数のターミナル・サーバーにおいて同じユーザー・プロファイルを使用することができる。