携帯電話の“世代”って何だろう?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
佐藤 進
KDDI コンシューマ事業企画本部
コンシューマ事業企画2部
事業戦略1グループリーダー 担当部長

 携帯電話の“世代”は,通信方式や速度の違いによる区別です。ただし,「第○世代」という呼び方は,オフィシャルな用語というより,一般的に技術者やマーケティング担当者など携帯電話に関心の高い人たちの間で使われる通称といえます。

 第1世代は,今はもうないアナログ方式の携帯電話を指します。ディジタル方式は第2世代からです。国内の第2世代の代表的な方式はPDCです。PDC は,周波数分割と時分割の技術を使ってチャネルを作り,各携帯電話に固定的に割り当てる方式で,データ伝送速度は最大で28.8kビット/秒でした。

 現在の主流は第3世代です。これは,「ITU」(国際通信連合)が携帯電話の国際標準として定めた「IMT-2000」に準拠する方式を指します。そもそも「世代」は,IMT-2000の標準化の中で出てきた言葉で,「第1世代」と「第2世代」はその時点から遡って意味付けされたようです。

 第3世代の特徴は,CDMAという方式を採用することで,すべての携帯電話が同じ周波数帯域を使えるようにした点です。なお,データ伝送速度は,静止時で2Mビット/秒程度とされます。

 第4世代の定義は曖昧です。ITUでは第4世代について,100M~1Gビット/秒程度のデータ伝送速度を持つなどの展望を示しています。また,日本では5G~6GHzの周波数帯域を使うことも第4世代の特徴といわれています。しかし,まだ規格化されていません。

 そのほか,「2.5世代」や「3.5世代」,「3.9世代」という言葉を耳にすることもあるでしょう。これらは,元の世代の技術を基に,次の世代と同程度のデータ伝送速度を実現する技術を指します。例えば,3.9世代の携帯電話は,第3世代の技術を基に第4世代に極めて近い高速な通信を実現しようとするもので,2010年頃に登場する見通しです。