iPhone向けの業務アプリケーションが続々と登場している。すでに提供済みの米オラクルと米セールスフォース・ドットコムなどに加え、米IBMやドリーム・アーツ、ネオジャパン、ワークスアプリケーションズといった企業も対応を表明した。日本での本格展開も近そうだ。

 7月11日の発売日にはちょっとした狂騒劇の様相を呈した米アップルの携帯電話端末「iPhone 3G」。発売から半月が経過した現在、企業ユーザー向けの業務アプリケーション参入表明が次々と出た()。

表●iPhone向け業務アプリケーション提供を表明済みの主なソフト/サービス企業
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表●iPhone向け業務アプリケーション提供を表明済みの主なソフト/サービス企業

 口火を切ったのは米オラクルと米セールスフォース・ドットコム。iPhone 3Gではアップル以外が開発したソフトのインストールが可能になった。この機能を利用して、オラクルとセールスフォースは端末発売と同時にソフトの提供を開始した。

 オラクルはiPhone向けソフト群を「Oracle business applications for the Apple iPhone」と称して、ERPやCRMのクライアントソフトを多数揃えるとしている。発売当日に第一弾として、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールのクライアントソフトを公開した。

 セールスフォースは同社のCRMアプリケーションとSaaSプラットフォーム「Force.com」上のアプリケーションの“専用ブラウザ”に当たるソフトを提供する。両社ともにソフトは無料だが、利用するにはサーバーソフトやSaaSを別途導入しなければならない。

 iPhone専用ソフトの開発まではしないものの、WebアプリケーションをiPhoneに最適化するソフトベンダーやSaaS事業者も多い。 iPhoneは画面の解像度がパソコンよりも低く、操作は指によるタッチパネルしかない。ベンダー各社は画面のレイアウトを変えたり、アイコンを大きくしたりあれこれ工夫。使い勝手向上に腐心している。米IBMや米アバイア、米ネットスイート、独SAPはこのグループだ。

 国産ベンダーでは、グループウエアを手がけるドリーム・アーツやネオジャパン、ERPのワークスアプリケーションズなどがiPhone向けのWebアプリケーションを提供する方針だ。

 なお、アバイアとSAPはiPhoneにインストールして使うソフトの提供も検討しているとする。Webアプリケーションではブラウザの仕様による制約など使い勝手に制限が出るからだ。

 一方で慎重なベンダーも多い。ソフトブレーンは「検証はしているが販売するかどうかは未定」(広報)とするほか、米マイクロソフトやNEC、大塚商会、サイボウズ、富士通なども同様の立場を取る。こうしたベンダーは、企業ユーザーでのiPhone導入が進むかどうかを見極めてから決めるとする。

 実際、国内の企業ユーザーにどこまでiPhoneが受け入れられるかは未知数。米ガートナーは依然として改善すべき点も残ると指摘する。とはいえ、「日本でも試験導入の作業が始まっているユーザー企業が複数ある」(アップルジャパン広報)。今後の動向に注目が集まる。