これまでVisual Studioを使ってきた人はもちろん,これまで他の開発ツールを使ってきたという人,これまでプログラミングをしたことがないという人にも,最新版のVisual Studio 2008はぜひ使ってみてほしいツールです。Visual Studio 2008 Team Suite Beta 2日本語版」を用いたプログラム作成入門をお送りします。

 マイクロソフトは2007年12月14日にVisual Studio 2008日本語版の出荷を始めました。最初はMSDN(Microsoft Developer Network)の会員向けダウンロードで,続いて無償版「Visual Studio 2008 Express Edition」(Visual Basic,Visual C#,Visual C++,Visual Web Developer)の提供を開始しました。ボリューム・ライセンスとパッケージ版の提供は2008年2月です。

 今回の記事では,「Visual Studio 2008 Team Suite Beta 2日本語版」を利用しています。Beta 2日本語版は,ここからダウンロードできます。

どんなプログラムを書きたいですか?

 プログラムを書こうと考えたら,その次に来る問いは「どんなプログラムを書こうか?」でしょう。ユーザーが直接操作するアプリケーション・プログラムを見た目(操作性)で分類すると,「コンソール・アプリケーション」,「Windowsアプリケーション」,「Webアプリケーション」の三つに分けられます(表1)。

表1●どんな見た目のプログラムを作るか?
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表1●どんな見た目のプログラムを作るか?

 コンソール・アプリケーションは,開発ツールの基本的な機能を使って作成できます。このため,ツールやプログラミング言語の選択肢が広く,プログラミング自体も簡単です。実際,プログラミングの教科書の多くは例題としてコンソール・アプリケーションを作成します。

 問題は,エンドユーザーの多くがWindowsのGUI操作に慣れてしまっていることです。GUIではマウスを使ってプログラムを操作できますが,コンソール・アプリケーションでは原則として,プログラムに与える指示をキーボードで入力します。複数の指示を正しく入力するのは容易ではありません。多くのユーザーにとってコンソール・アプリケーションは使いにくいもので,実用性という点で疑問符が付きます。

 Windowsアプリケーションは,ワープロのWordや表計算ソフトのExcelに代表されるような,Windows環境を前提としたプログラムです。メニューやツールバーによるコマンドの呼び出し,ダイアログ(問い合わせ画面)による動作パラメータの設定など,多くのユーザーが慣れ親しんだ操作方法で利用できます。問題は,現実的な手間(工数)でWindowsアプリケーションを作成できる開発ツールの選択肢があまり多くないことです。

 もう一つのWebアプリケーションも,ある程度GUIによる操作が可能です。しかも,HTTPサーバー(Webサーバー)の側にプログラムを置くので(図1の3番目),利用者一人ひとりのパソコンにプログラムを「配布」する必要がないというのが大きなメリットです。Windowsアプリケーションでは,利用者のパソコンそれぞれにプログラムを配布する作業が必須で,この作業が面倒だという声が少なくありませんでした。

図1●Webアプリケーション,データベース・アプリケーションを作るには多くの知識が必要
図1●Webアプリケーション,データベース・アプリケーションを作るには多くの知識が必要
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 Webアプリケーションの問題は,構成が複雑なことです。WebブラウザとHTTPサーバーを利用するので,それぞれにどのソフトを使うかを考えながらプログラムを書く必要があります。WebブラウザとHTTPサーバーが少しでも変われば(たとえばバージョンが変われば),動かなくなる可能性があります*1。図1の1番上のシンプルなアプリケーションと比べると,神経を使うべき個所が多いのです。

 図1では,データベース管理システムを利用する場合も示しています。データベース管理システムは有用ですが,そのプログラミングは複雑になりがちです。入門,初級レベルのうちは,特に必要がなければ避けたほうが賢明です。