これから胸を躍らせて新しい人生への1ページを開こうとしている皆さん。皆さんはきっと,コンピュータを思い通りに使いこなすための「プログラミング」という技術に興味を持って,このページを開いたことと思います。

 それと同時に,恐れもあることでしょう。思い通りにコンピュータを使いこなしてみたいけど,難しい理屈を延々と聞かさせるのはイヤだな――こんな風に思っているのかもしれませんね。

 でも,心配は要りません。プログラムは詰まるところ,思い通りに動きさえすればよいのです。理屈は一切知らなくても,コンピュータを思い通りに動かすことができれば,それで全く問題はありません。

 もちろん,巨大で複雑なプログラムを思い通りに作り上げて動作させようとすると,そう簡単にはいきません。そのようなケースでは,プログラムを思い通りに支配するための様々な知恵の蓄積を学ぶ必要があります。それはそれで大いに意義のあることですが,とても一筋縄ではいきません。

 しかし,とりあえず体当たりでプログラムを動かすだけであれば,そのような知識は不要です。体当たりを繰り返すことで,プログラミングというものが徐々にわかってくるでしょう。

 つまり,プログラミングは理屈よりも慣れです。まずは,あなたの目の前にあるパソコンに軽く触れてみましょう。

プログラミングの準備はもう済んでいる

 さっそく,プログラミングを体感するための準備を行いましょう。といっても,パソコンさえあれば,たいていの場合準備時間はゼロです。

 今回主に使うのは,Webブラウザです。画面例などには,Windows XPで動作するInternet Explorer 7.0(IE 7.0)を使用しています。他の多くのWebブラウザ,例えばInternet Explorer 6.0,Firefoxなどでも,同様のプログラミングを行うことができます。OSも,Webブラウザを実行できるものならどれでもかまいません。

 もう一つ,プログラムを作るためにWindows付属の「メモ帳」を使用します。これも,もし愛用のテキストエディタがあれば,それを使うので問題はありません。これらのソフトは,今どきのほとんどのパソコンであれば,すべて標準でそろうものです。まさに準備時間ゼロです。

 さて,ここで「本当にWebブラウザでプログラミングできるの?」と心配になった読者もいると思います。Webブラウザは,Webサイトにアクセスするために使うケースがほとんどですから,その心配はもっともです。

 実は,Webブラウザはプログラムを実行するための強力な手段でもあるのです。Webブラウザには,JavaScript(ジャバスクリプト)と呼ぶ言語で書いたプログラムを実行する機能が備わっています。例えば,Google MapGMailのような人気のあるリッチなサービスは,そのJavaScriptの機能性を使って高機能のサービスを作り上げています*1。ですから,この記事は,Google MapやGMailに至る長く偉大な道へと踏み出す第1歩であると位置づけられるわけです。

自分の名前をコンピュータに表示させよう

 では最初に,自分の名前をパソコンの画面上に表示させてみましょう。

 「そんなの簡単だよ。ワープロ・ソフトなどを開いて,そこに名前を入力すればすぐできる」と思うかもしれません。しかし,ここで皆さんが挑戦するのはプログラミングです。ワープロの力に頼らず,プログラミングの力でそれを達成してみようではありませんか。

 こう言うと,難しい操作が要求されるかもしれないと思って尻込みしてしまうかもしれませんね。ご安心ください。入力するのはたった1行の文字列です。それだけで,名前を画面に表示するプログラミングが完了するのです。だまされたと思って,以下の手順を実行してみてください。

 まず,Webブラウザを開きます。使用するのは,「アドレスバー」(Firefoxでは「ロケーションバー」)と呼ばれる部分です。通常は,Webサイトにアクセスするときに“http://”で始まるURLをここに入力します(図1)。

図1●プログラムを書き込む「アドレスバー」。Firefoxでは「ロケーションバー」と呼ぶ
図1●プログラムを書き込む「アドレスバー」。Firefoxでは「ロケーションバー」と呼ぶ

 実は,このアドレスバーは優れもので,URLを入力してWebページを開くだけでなく,プログラムを実行するためにも使えるのです。まさかと思うかもしれませんが,ウソではありません。プログラムを実行する手段は,はじめから皆さんの目の前に存在していたというわけです。